特定技能【農業分野】|業種毎に解説!

特定技能【農業分野】|業種毎に解説!

この記事では、特定技能「農業分野」について、解説します。

「特定技能」は人手不足と認められる業界分野に対して、外国人を正社員あるいは派遣社員(許可されている業界分野のみ)として就労することを可能にする2019年4月に施行された新たな就労ビザ(在留資格)です。

2019年4月に新設されたばかりで説明会やセミナーなどを通じて情報収集できる機会はあるものの、2020年5月現在でも、まだまだ浸透していないという見方もあります。また、農業分野では、新型コロナウイルス感染症の影響により、技能実習、特定技能ともに外国人材の確保に苦しい状況を迎えています。

2020年5月現在で確認される、法務省発表の最新情報では、特定技能「農業分野」における外国人労働者数は292人(耕種農業全般226人、畜産農業全般66人)で、全ての特定技能外国人が、技能実習ルートにより、特定技能へ移行されていることが分かっています。

2019年の政府が示した特定技能外国人農業分野での受入れ目標人数は、3,800~7,300人とされており、目標にはまだほど遠いといえます。

この記事では業界として慢性的かつ深刻な人材不足が叫ばれる農業分野について、農業分野における特定技能の概要について解説していきます。

そもそも農業の現状は?

日本の農業労働人口は年々減少しています。農林水産省が公表している「農業労働力に関する統計」によると「農業就業人口及び基幹的農業従事者数」は2015年時点では209.7万人でしたが、平成31年時点では168.1万人まで大幅に減少しています。また平均年齢も70歳に差し掛かってきました。
参照元:「農業労働力に関する統計」農林水産省

特定技能で外国人は農業に従事できる?

2019年4月に新設された「特定技能」就労ビザ(在留資格)により農業従事者は、「特定技能1号」の就労ビザ(在留資格)を取得した外国人を正社員として雇用できるようになりました。日本の農業が抱える問題として、主に以下の3つが挙げられています。

  • 人手不足と従事者の高齢化や農村の人口減少
  • 作物ブランド化の可否によって収入が大幅に違う
  • 農業を始める敷居が高いので新規参入者が少ない

今まで人手が必要な単純労働のために外国人を雇うことは禁じられていました。しかし、特定技能はその人手不足を解消するために設けられた就労ビザ(在留資格)です。人手不足の農業業界の強力な力になることが期待されています。ちなみに農業は特定技能外国人の人材派遣が認められています。

農業における特定技能の要件は?

農業分野で特定技能外国人(特定技能の就労ビザ(在留資格)を所有している外国人)を雇用する要件は下記の通りです。

  • 受け入れは特定技能1号のみ
  • 18歳以上であること
  • 日本語能力試験に合格していること(規定あり)
  • 特定技能評価試験【農業】に合格していること

学歴や職歴は求められないので、他の就労ビザ(在留資格)よりは比較的ゆるやかな条件かもしれません。農業で雇用できるのは、「特定技能1号」の就労ビザ(在留資格)を取得した外国人のみです(2020年3月現在)。ただ、今後もしかしたら特定技能2号に農業分野が追加される可能性はあります。特定技能の概要については以下の記事もあわせてお読みください。
別記事:「今さら聞けない・・・制度の基本と実情「特定技能」制度

農業分野の受け入れ見込み人数は?

農業分野の特定技能1号外国人を受け入れる見込み人数は、最大36,500人(5年間で)とされてます。特定技能で受け入れる外国人は下記の9ヶ国を対象としています。(参照元:「特定技能制度の施行状況について」出入国在留管理庁)

  • ベトナム
  • フィリピン
  • カンボジア
  • 中国
  • インドネシア
  • タイ
  • ミャンマー
  • ネパール
  • モンゴル

特定技能外国人の業務内容【農業】

特定技能1号外国人(特定技能の就労ビザ(在留資格)を取得した外国人の呼称)が農業分野で従事できる業務内容は例えば以下のようなものがあります。

主な業務栽培や飼育の管理
出荷や作物などの選別
その他付随する業務製造や加工
運搬・販売
積雪時の除雪作業など

農業の専門的な業務だけでなく、付随する業務にも従事させることができます。

働くことができる期限は?

特定技能1号には、技能実習生と同じように期限があります。特定技能1号は最長で5年間、日本に滞在して働くことが許可されています。2020年3月時点ではまだ農業分野には許可されていませんが、特定技能2号がもし農業分野にも許可された場合は更新をすることで際限なく日本に滞在して働くことが可能になります。ただ、現状としては後継者として雇用するのではなく、経営者目線で考えるとあくまでもサポートしてくれる存在であるといえるでしょう。
参照元:「新たな外国人の受け入れに関するQ&A」農林水産省

特定技能1号【農業】の試験内容は?

特定技能1号【農業】の取得に必要な特定技能評価試験の内容は以下の2つがあります。

  • 耕種農業試験
  • 畜産農業試験

耕種農業試験基準概要

科目は日本語能力を確かめるリスニング試験と、耕種農業について問う学科試験および実技試験で構成されています。
参照元:「農業技能測定試験(耕種農業全般)の試験基準概要」一般社団法人全国農業会議所

畜産農業試験基準概要

科目はこちらも日本語能力を確かめるリスニング試験と、畜産農業について問う学科試験および実技試験で構成されています。
参照元:「農業技能測定試験(畜産農業全般)の試験基準概要」一般社団法人全国農業会議所

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は農業分野の「特定技能」就労ビザ(在留資格)について概要をお伝えしました。外国人人材の手を借りるだけでは農業の人手不足を解消することはできません。その間に後継者になる人材を育成する必要があります。とはいえ、外国人人材を雇用することで日々の業務における人手不足が解消され、後継者や日本人雇用など他の手段を取れる余裕が出るかもしれません。特定技能についてもっと知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
別記事:「今さら聞けない・・・制度の基本と実情「特定技能」制度
別記事:「登録支援機関の役割とは?
別記事:「特定技能1号に必須!具体的な支援内容とは?

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