テレワーク・在宅勤務導入の試みが様々な企業で行われ、多くの成功事例、失敗事例が世の中に共有されるようになってきました。
現在、多くの企業が取り組んでいる働き方改革。その一環として、社員や従業員が働く環境を整備するため新しい制度を導入する企業も多いのではないでしょうか。アサヒグループホールディングス(以下アサヒGHD)も働き方改革と付随する環境整備に取り組んでいる企業の一つです。働き方改革、新しい制度の導入によって生じた課題点、問題点の解決に向け、魅力的なアプローチをしています。
今回はアサヒGHDの働き方改革について徹底解説していきます。
アサヒGHD働き方改革の概要
アサヒGHDの働き方改革は2016年から本格的に開始されました。決められた時間内で結果を出すことを狙いとし、生産性向上のため、優先度が高くイノベーティブな仕事に注力できる環境の整備に取り組んでいました。アサヒGHDは働き方改革による結果の指標を社員の総労働時間と年休取得回数として様々な施策を講じています。
今回はアサヒGHDが取り組んできた施策と、働き方改革によって生じた問題点に対するアプローチ、そして2020年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大への対応として新たに導入した制度について解説していきます。
アサヒGHDの働き方改革
テレワークの導入
アサヒGHDは本格的に働き方改革に着手した2016年から、テレワークを導入しました。移動時間の効率化が目的であり、全社員にノートPCと社用iPhoneを配備し、個々が仕事に取り組める体制を整備しました。
アサヒGHDは、テレワークのメリットは移動の削減による身体的負担の軽減や仕事の効率化であると発表しています。
テレワークに対し「社員が業務時間内にさぼっているのではないか。」という懸念を抱く企業も多いのではないでしょうか。アサヒGHDはこの懸念に対して社員の自律性を信頼すると発表しています。
勤怠管理は始業時と就業時のメールによる一方と、各PCにインストールしてある履歴を監視するソフトを用いて行われますが、常に監視することはなく、あくまで社員との信頼関係を重視しています。
オフィスのフリーアドレス化
アサヒGHDはオフィスのフリーアドレス化にも着手しています。このフリーアドレス導入によって創造的な仕事を促す狙いや、面積の効率化を図っています。例えば、営業担当の社員が多く在籍するフロアでは日中空席が多く、そのスペースを有効活用するといったものです。
スペースの有効活用として、レイアウトを変更することで、慢性的な会議室不足の解決に取り組みました。大会議室に可動式の仕切り間を設けることで、TPOに応じた空間を作ることができます。
また、4人掛けテーブルにモニターを設置した共用スペースを設置し、軽いミーティングは会議室以外でも行えるよう環境を整えました。
さらに、社員のコミュニケーションスペースとしてアサヒGHDには社員クラブがあり、昼は社員食堂、夜はビールを楽しめる交流の場があります。
アサヒGHDならではの、社員のイノベーションを駆り立てる工夫です。
スーパーフレックス制度
アサヒGHDは出社時間、退社時間が自由で、且つ決められたコアタイムがないスーパーフレックス制度を導入しています。この制度によって、例えば、海外事業部門の社員が取引先の時差に合わせた通常業務時間以外での業務に対応することができるようになりました。個人の働き方やワークスタイルのに合った勤務の時間を設定することができ、現場ごとに最適な運用を促しています。
社員同士のスケジュール調整は、Outlookのによる共有で解決しています。
代休取得
アサヒGHDは休日出勤した時の代休取得を推進しています。代休取得期限を2か月以内から半年以内にすることで繁忙期などによって代休が消滅ことと防ぎ、代休取得をしやすくしました。
週一回の対面ミーティング
働き方改革による諸制度の導入により、働く時間と場所の制限が大幅に自由になった結果、上司が部下のマネジメントに悩むようになるといった問題点が生じました。上司がメンバーの状態を把握できるよう、週一回約30分のミーティングを社員と1on1の対面で行っています。カジュアルな雰囲気で業務の進捗管理や、課題の整理、悩みを相談できる場として、リモートやフレックスによるコミュニケーション不足を解消しています。
「リモートスタイル」の導入
アサヒGHDは2020年8月3日、リモートワークを中心として新しい働き方「リモートスタイル」を標準とする体制に移行することを発表しました。緊急事態宣言以前から、原則リモートワークをとする働き方を取り入れてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う変化に対応するため、社内の制度構築を急いでいます。
以前から行われてきた事務職や営業職でのリモートワークを継続し、出社人数を30~50%としています。営業職は自宅から営業先までの直行直帰を基本とし、出社を併用した働き方を推奨しています。
これまではリモートワークが難しかった、製造や物流の部門においても新しい働き方を検討しており、工程管理や稼働状態の監視業務を管理者が自宅で行うことも検討しています。
また、リモートスタイルの導入にあたって、社内制度の見直しも進めており大きく分けて以下の2つに分けられます。
- インフラ整備・ワークルールの見直し
- 人事諸制度の見直し
インフラ整備・ワークルールの見直し
リモートスタイルの導入にあたり、遠隔での作業が円滑にできるよう、印鑑捺印の電子化、会計処理や契約書等を電子化するペーパーレスの推進が取り組まれています。
また、国内外への社内出張は原則禁止とし、オンラインの標準化を進めています。
人事諸制度の見直し
リモートスタイルへの変革を支え、従業員一人ひとりの安全かつ安心した環境の整備と成長を支援するため、人事諸制度の見直しが取り組まれています。
具体的には、適用対象者の範囲を広げるためのテレワーク勤務制度の見直しや、単身赴任の削減、通勤定期券代の支給廃止などがあります。加えて、福利厚生制度の見直しや、リモート健康相談窓口の設置、社内コミュニケーション活発化のための、オンラインコミュニケーションツールの展開が行われています。
まとめ
今回はアサヒグループホールディングスの働き方改革についてご紹介、解説しました。
参考資料:
ニューノーマルにおける新しい働き方「リモートスタイル」を推進
次世代採用ナビではこれまでもさまざまな企業の働き方改革についてご紹介してきました。以下も併せてご参照頂ければ幸いです。