東南アジア諸国において、「情報リスク」「プライバシー」の捉え方は、日本の感覚とは大きく異なるものです。外国人を雇用するときには、このことを念頭に入社時に指導する必要があるでしょう。
日本人からすると、プライバシーに触れるようなことも、東南アジア諸国では許容されることも多いです。たとえば、家族に関して根掘り葉掘り聞いたり、知人の連絡先を本人の許可を得ずに転送したり、ということはよくあります。
こうした文化の違いがある手前、外国人社員による、会社の機密情報の漏洩リスクはあるといえます。
外国人社員と「情報漏洩」
たとえば、外国人社員がオフィス内で働く自身の姿を写真でおさめ、その写真に会社の機密情報となる資料が写りこんでいる、ということが想定できます。
東南アジアの人々のSNSでは、こうしたオフィスで働く自分自身を撮影する写真はよく見ますし(この行為が良い悪いの話ではなく、日本人に比べて「自己顕示欲」が高い傾向にあります。)日本で就職するとなれば、 母国の友人や家族に知らせたい、とSNSに投稿することもあるでしょう。
社内では写真撮影を禁止する、会社のPCで私用のSNSアカウントなど使用を禁止する、または、スマートフォンなど個人の電子機器を持ち込まない、等ルールを規定することを検討をしてみてください。
なお、これは外国人社員に限ったことではなく、日本人社員においても有り得るリスクです。
ケーススタディ
出国書類の一部をSNSに投稿
日本へ旅立つ準備を終え、母国の友人知人に報告をする際、出国に係る書類に、モザイク等かけず、SNSに投稿しているのを見ることがあります。ここには個人情報や、会社名、会社住所、責任者名などもありますが、こうしたものを一般に公開してはならない、という教育はまだまだ東南アジア諸国では浸透していません。
給与明細をSNSに投稿
はじめてもらった給料がうれしくて、Facebookに給与明細を投稿した中に、会社名や給与待遇の大切な情報が入っていることもあります。また、自分の給与待遇が他の方と比べてどうなのか、情報をシェアすることに抵抗がない人も多く、ベトナムでは、社内でお互いの給与をシェアし合っている、ということもあります。
会社として絶対に守らなければならない情報は一度整理する必要があるでしょう。
承諾なく、会社、社員の写真をSNS投稿している
悪気があってのことではなく、日本で働く喜びから、Facebookで近況を伝えたいと考えるあまり、会社や個人の許諾なく写真、情報をSNSで公開していることがあります。
たとえば、外国人社員を含めて社員旅行に行ったり、地域の催しに参加した際、その写真を個人のFacebook上に投稿して良いかどうか、(前述のとおりプライバシーの定義も異なることから)こうした配慮を持つ社員に育てる義務が会社にはあります。
きっと(日本人)社員の中には、そうしたSNSに公開されることを嫌がる方もいらっしゃるはずですので、あとあとトラブルが起きないように、こうしたルールは事前に周知することが大切です。
まとめ
そもそも、自社の外国人社員がSNSを利用しているかどうかも、分からない方も多いかと思います。SNSを利用することはもちろん自由ではありますが、日本社会の規律や会社の規定に則り利用することを認識してもらい、会社の情報管理を見直し、徹底することをおススメします。
また、SNSとは何か?と思う方もいらっしゃると思いますが、世界的に有名なFacebookなどを利用することで、外国人社員との交流が増えるきっかけになるかもしれません。
日本で働く外国人のSNSを見ていますと、安易に情報公開することで、どのような情報漏洩リスクがあるのか、理解できている人が少ない印象を受けます。 外国人は情報や知識に乏しい、と捉えるのではなく、しっかり教育指導をすることが大切であることを認識していただきたいと考えます。
情報管理に関する注意喚起を入社前研修で実施するために、以下のようなサイトを参考にしてください。
新入社員等研修向け情報セキュリティマニュアル(経済産業省)
【情報システム担当者必見】社員教育におすすめなリンク5選(浅間商事株式会社)