在留資格認定証明書とは、日本国内に中長期で滞在する外国人の活動や身分を法務省が保証する証明書類です。活動というのは、就労や留学、家族の滞在などを指します。
来日する前に取得することで、外務省による在外日本領事館(大使館)によるビザ(査証)の発行や、日本の空港内での入国審査が円滑になるといわれています。
この記事では外国人が日本で働くうえでメジャーな就労ビザ(正確には在留資格)である「技術・人文知識・国際業務」を例として、在留資格認定証明書とビザ(査証)の違い、必要書類や申請期間、有効期限などをお伝えします。
在留資格認定証明書とビザ(査証)の違い
在留資格認定証明書とは、外国人が就労や留学、家族滞在など中長期に日本に滞在する目的で来日する前に取得するべき書類です。在留資格認定証明書の意味と、ビザ(査証)との違いについて解説します。
在留資格認定証明書とは?
在留資格認定証明書は、外国人が来日後に日本で行おうとしている活動内容を証明する意味をもち、法務省が発行します。「入管法(出入国管理及び難民認定法)」により外国人が日本に上陸する際に必要なものを以下のように定めています。
- 有効な旅券及び日本国領事官等が発給した有効な査証を所持していること
- 申請に係る活動(我が国で行おうとする活動)が偽りのものでないこと
- 我が国で行おうとする活動が入管法に定める在留資格のいずれかに該当することまた、上陸許可基準のある在留資格についてはその基準に適合すること
- 滞在予定期間が,在留期間を定めた施行規則の規定に適合すること
- 入管法第5条に定める上陸拒否事由に該当しないこと
参照元:「入国・帰国手続<外国人の上陸手続(入管法第6条)」出入国在留管理庁
「有効な旅券及び日本国領事官等が発給した有効な査証を所持していること」は、具体的には以下の2つを指しています。
- 有効なパスポート(旅券)
- 有効なビザ(査証)※ビザ免除特例の指定国を除く
また、外国人が日本に入国して中長期的に滞在するためには「我が国で行おうとする活動が,入管法に定める在留資格のいずれかに該当すること また,上陸許可基準のある在留資格については,その基準に適合すること」この条件を満たすことが大切です。日本国内における就労や留学など中長期的に滞在することが目的で日本に来日する際には、パスポートとビザ(査証)に加えて、「在留資格認定証明書」があると入国審査が円滑に進みます。
ビザ(査証)とは?
ビザ(査証)とは、日本大使館(領事館)において下記のことを確認したことを示す証書です。
- 日本に入国を希望する外国人の旅券(パスポート)が有効である(確認)
- ビザに記載された条件で日本へ上陸することに支障がない(推薦)
ビザ(査証)の発行は外務省の名義で行われています。
在留資格認定証明書とビザ(査証)の違いとは?
「在留資格認定証明書」は、法務省が審査し発行されます。「ビザ(査証)」は外務省が審査し発行されます。つまり、外国人が日本へ上陸するには法務省と外務省による二重の審査を受け通過する必要があります。
在留資格認定証明書の申請とは?
在留資格認定証明書を受け取るためには、法務省管轄の出入国在留管理庁(旧入国管理局)に「在留資格認定証明書交付申請書」を提出する必要があります。本記事では、日本の就労ビザ(在留資格)の中でもメジャーな「技術・人文知識・国際業務」を例にして説明します。
参照元:「在留資格認定証明書交付申請書」法務省
本人以外にも申請は可能か?
「在留資格認定証明書交付申請」ができるのは、下記のように定められています。(参照元:「在留資格認定証明書交付申請」法務省)
申請人 | 申請する外国人本人 |
代理人 | 申請人を雇用する会社の職員など |
申請人及び代理人から依頼を受けた申請取次者 | 行政書士、法廷代理人など |
申請取次者は、弁護士や行政書士が弁護士会や行政書士会を通して出入国在留管理局に届け出ている必要があります。代理人である企業は、自社では経験がないため、弁護士や行政書士などの申請取次者に依頼をして手続きを代行してもらうこともできます。
在留資格認定証明書交付申請書とは?
「在留資格認定証明書交付申請書」とは、「在留資格認定証明書」を申請するために必要な書類です。申請する在留資格によって、書式や必要書類などが変わってきます。例えば、法務省「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請書をご覧ください。
「技術・人文知識・国際業務」在留資格認定証明書交付申請書に加えて、どのカテゴリーにその外国人が働く会社があてはまるかにより提出書類が異なります。カテゴリーとは、法務省が定めている条件によって、外国人が就労する企業や機関を分類しているものです。技術・人文知識・国際業務であれば、専門性や経験を有する人材である必要があるので、基本的には申請人である外国人の経歴を証明する書類などが必要になります。
提出した書類に不備があったり、審査をするために追加の情報や書類が必要だと判断された場合に追加の書類を求められることがあります。そのような場合は、必要な理由を踏まえて該当する書類を迅速に提出しましょう。もし不備や虚偽の申告があると、申請が不許可になる可能性が高いです。また間違った情報を記入して提出してしまうと、在留資格の更新の際に、トラブルになる恐れがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「在留資格認定証明書」は外国人の日本への入国をスムーズにするために必要不可欠な書類です。ただ、その申請にも手順やルールが存在しています。もし初めて外国人を雇用するのであれば、就労ビザ(在留資格)に詳しい行政書士などに依頼するほうが確実です。
行政書士や弁護士のような取次申請人に依頼することで、申請の際のミスによる不許可の可能性が少なくなります。もちろん、行政書士の中でも「就労ビザ(在留資格)」の申請に詳しい行政書士に依頼しましょう。採用した外国人が、申請手続きの不備で日本に入国できなくなってしまえば、無駄にコストがかかってしまいます。外国人採用を繰り返すなかで自社でノウハウを蓄積していきましょう。