特定技能【介護分野】|業種毎に解説!

特定技能【介護分野】|業種毎に解説!

外国人の労働を認める在留資格「特定技能」が2019年4月に新設されました。少子高齢化社会の影響で人手不足が深まる介護業界においても「技能実習制度」は活用されてきましたが、介護分野の「特定技能」が開設されたことで実習ではなく労働者として外国人が働くことが可能になりました。

2020年3月現在で得た最新情報では、特定技能介護分野における外国人労働者数は、わずか19人(国籍はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国)、全てがEPA介護福祉士候補者ルートによるものです。(法務省発表2019年12月現在)政府の2019年の受入れ目標が5,000人であったことから、到底目標には達していないことがわかります。

しかし、特定技能14業種の中でも、もっとも受入れ目標人数が多い業種のひとつである「介護」は業界をあげて注目される制度であることは間違いありません。 特定技能の課題のひとつである技能試験実施の遅れについては、他業種に比べ介護分野の実施は進んでおり、2020 年2 月末の特定技能評価試験合格者数は技能:1,949人、日本語:1,988 人と、2020年以降、介護分野の特定技能外国人が増える兆しは見え始めています。

介護分野で外国人が働くためにはどのような制度、在留資格があるのか、こうした基礎をふまえて、今回は介護分野の「特定技能」について解説します。

介護分野で働く外国人とは?

介護分野で働く外国人は現在のところ、以下の在留資格で就労あるいは研修を受けています。

  • 在留資格「介護」
  • 「EPA介護福祉士候補」
  • 「技能実習(介護)」
  • 「特定技能1号」介護分野

今までは、外国人が介護分野で正社員として働くためには、介護福祉養成施設で2年以上学び、日本の国家資格である「介護福祉士」の試験に合格し取得することで在留資格「介護」を取得する必要がありました。

そのため、EPA(経済連携協定)で日本に入国した外国人は、介護福祉士候補として介護現場で実習を受けながら国家試験を受験するという流れがあります。EPAのメリットは、資格取得さえできればほぼ無期限で就労可能な「介護」の在留資格にEPA介護福祉士候補生が移行できることです。資格があれば、例え帰国してしまった外国人でも、本人に就労の意志があれば再雇用も可能です。

技能実習制度は「海外への技術移転」が目的の制度であり、労働力として外国人を雇用することが目的の2019年新設新たな在留資格「特定技能」は人手不足を補っていた「技能実習制度」と入れ替わることで、目的と事実が乖離していた「技能実習制度」の課題を解決することが期待されています。

そもそも特定技能【介護】とは?

特定技能は14分野に限り外国人の単純労働を含む就労を許可する就労ビザ(在留資格)です。その14分野の中に「介護分野」も含まれています。介護分野においては、「特定技能1号」のみ許可されているので最長で5年間の就労が許可されます。

ただし、今後「特定技能2号」に介護分野が認定されれば更新をする限り、他の就労ビザと同様に無期限で日本で働くことも可能になります。加えて、特定技能のメリットは、国家資格である「介護福祉士」がなくとも5年という長期間雇用できることです。また2017年12月8日に以下の閣議決定がされています。

介護分野における技能実習や留学中の資格外活動による3年以上の実務経験に加え,実務者研修を受講し,介護福祉士の国家試験に合格した外国人に在留資格(介護)を認めること

引用元:「外国人介護人材受け入れについての考え方」厚生労働省

したがって、特定技能で3年以上実務経験を積み、実務者研修を受講して介護福祉士に合格すれば「介護」の在留資格に移行できる仕組みが将来的に整備される予定です。(2020年3月末時点では施行日は決まっておりません)

介護分野の特定技能1号の資格を取得し就労している外国人を「介護特定技能1号外国人」といいます。気を付けるべき点として、介護特定技能1号外国人の人数は、事業所単位で所属している日本人の総数を超えることはできません。

介護特定技能1号で従事可能な業務とは?

介護特定技能1号のデメリットは、訪問介護に従事させることができないことです。しかし、前提として仕事に慣れていることが必要ですが、夜勤は可能です。具体的には下記をご覧ください。

従事可能身体介護利用者の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等
随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)
従事不可訪問を必要とするサービス
雇用形態直接雇用のみ可。派遣は不可。

介護特定技能1号外国人を雇用するには?

介護施設で介護特定技能1号外国人を雇用する場合は、介護特定技能1号の取得条件を満たした外国人を雇用し出入国在留管理局に在留資格認定書交付申請書または在留資格変更許可申請書と必要書類を提出して「介護特定技能1号」の在留資格を当該外国人に取得させる必要があります。具体的には下記の要件を満たす必要があります。

外国人が満たす必要がある要件

  • 介護技能評価試験合格または介護福祉養成施設修了
  • 国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上合格
  • 介護日本語評価試験合格

介護技能評価試験とは?

特定技能の在留資格を取得する為には基本的に各業種の技能試験と日本語試験を合格する必要があります。何故なら「相当程度の知識または経験を必要とする技能」に関する業務に従事するため「相当程度の知識または経験」があるか確かめる必要があるからです。介護分野でも例外なく技能試験があります。加えて一般的な日本語能力を確かめるため、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験N4」に合格し、介護分野で用いる専門的な日本語が出題される「介護日本語評価試験」にも合格する必要があります。

例外として、介護分野の第2号技能実習(3年間)、あるいは介護福祉養護施設を修了している外国人は、上記の試験が免除され特定技能の在留資格を申請して許可されれば介護分野の特定技能1号外国人として働くことができます。

介護福祉養成施設とは?

介護福祉養成施設とは、厚生労働大臣から指定を受けた「指定養護施設」になっている学校を指します。主に介護を学ぶ専門学校などが指定されています。

参照元:「外国人介護人材の受入環境の整備に向けた調査研究事業【報告書】」三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

受け入れる介護施設が満たす必要がある要件

受け入れる介護施設(特定技能外国人を雇用する企業は総じて特定技能所属機関といわれています)は下記の要件を満たす必要があります。

  • 外国人を受け入れることによって事業所の日本人の総数を超えないこと
  • 介護分野特定技能協議会に加入すること
  • 協議会に対して必要な協力を怠らないこと
  • 厚生労働省またはその委託を受けた機関の調査指導に対して協力すること

また介護分野の特定技能1号外国人を雇用する場合は、日本人と同等以上の給与や待遇で雇用しなければなりません。また就労後の配置に関しても、ケアの安全性を図るため当該外国人が仕事に慣れるまでの一定期間はチームでケアにあたるなど、フォロー体制を築くことを求められています。

参照元:「介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について」厚生労働省

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は特定技能の中で「介護分野」に関する概要や、要件をお伝えしました。自社で特定技能外国人の雇用を検討している場合は、「支援計画」の策定実施や特定技能ビザ(在留資格)申請に必要な書類、また特定技能外国人を雇用する企業をサポートする「登録支援機関」の存在など、多くの知識が必要になります。よろしければ以下の記事をお役立てください。

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別記事:「登録支援機関の役割とは?
別記事:「特定技能1号に必須!具体的な支援内容とは?

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