外国人の採用がさかんな地域を中心に、外国人雇用マニュアルが普及してきた現在ですが、その配信については十分力を入れられているとは言い切れません。それぞれの地域、業界の特性に合わせたマニュアル配信や、サポート体制が敷かれていますので、本記事でご紹介します。
企業の外国人採用に関するセミナーやマニュアル(ハンドブック)について各都道府県で公開する、雇用の仕方、手続き、企業の準備に関するものまとめました。「外国人雇用」といっても何から始めて良いか分からない企業採用担当、人事ご担当者向けの初歩に役立つ情報としてお読みください。
gNaviでは、すでに別記事にて以下ご紹介しております。
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアルのまとめ‐①
・・・東京都や愛知県が公開している外国人雇用にまつわるハンドブック
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアルのまとめ‐②
・・・主に厚生労働省委託事業により作成された外国人雇用事例集
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐東北地方
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐関東甲信越地方
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐首都圏
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐北陸地方
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐東海地方
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐近畿地方
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐関西地方
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐四国地方
各自治体・省庁が配信する「外国人雇用」マニュアル&公開情報のまとめ‐九州沖縄地方
外国人雇用マニュアルの中身
「外国人雇用」を謳う各自治体のマニュアルには統一した事項があります。
- 外国人労働者/在住者の状況
- 外国人の在留資格
- 在留資格・制度ごとの違い
- 外国人の税、社会保険
- 外国人の生活支援
- 外国人雇用企業の好事例集
ほとんどのマニュアルではこれらの記載がされており、民間の人事コンサル、外国人人材紹介派遣業者においても同等の解説がされています。
鳥取
外国人労働者人数(2019年10月現在)3,121人【全国第45位】
参考: 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)
全国比で外国人労働者数の少ない鳥取ですが、観光分野においては、外国人観光客から人気を集めており、外国人労働者数の増加も十分見込める環境にあります。
産業別の事業所数では、製造業が全体の29.6%を占め、次いで卸売業・小売業が13.4%、宿泊業、飲食サービス業が10.7%を占めています。また、外国人労働者数では、製造業が52%と半数以上を占めていることがわかっています。
国籍別では、ベトナムが全体の39.5%を占めており、在留資格別では、技能実習が前年同期比で12.8%の増加、外国人労働者全体の54.9%を占めており、今後もベトナム人技能実習生の増加が見込まれます。
「外国人材受入れ・共生相談窓口」
鳥取県内で外国人労働者が増加している中、外国人材の適正・円滑な受入れや、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備に向け、「外国人材受入れ・共生相談窓口」を設置しています。
対象は、県内事業者、県内の外国人としており、外国人受入れに関する調査を実施するなど、他都道府県と比べても積極的な活動に取り組んでいることがわかります。
相談・問い合わせ先
担当:鳥取県商工労働部雇用人材局雇用政策課 外国人材受入れ・共生相談窓口
住所:鳥取市東町1-220(鳥取県庁本庁舎7階・雇用政策課内)
電話(TEL):0857-26-7699
県独自の調査では、実態調査のみならず、外国人雇用をする企業へのヒアリングや事例紹介など、内容コンテンツが充実していることが分かります。
詳細リンク先:鳥取県公式ホームページ「外国人材受入れ・共生相談窓口」
10分でわかる外国人労働者受入れ(鳥取県商工労働部)
鳥取県では、特定技能に関する情報配信、更新用の特設ページも設けられており、全国比で外国人労働者人数は少ないものの、県全体での外国人雇用への取り組みが見受けられます。
鳥取県で生活する外国人住民のためのお役立ち情報
詳細リンク先:「鳥取県で生活する外国人住民のためのお役立ち情報」(鳥取県公式ホームページ)
島根
外国人労働者人数(2019年10月現在)4,184人【全国第42位】
参考: 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)
外国人労働者人数が、2019年10月結果で7年ぶりに前年同期より減少、という全国的にも珍しい傾向のある島根県ではあるが、外国人を雇用する事業所数は過去10年から増加し続けており、技能実習の在留資格を中心に外国人雇用が広がるものと思われます。
国籍別では、ベトナムが最も多く1,181人(外国人労働者全体の28.2%)、次いでブラジル1,131人(同 27.0%)、中国797人(同19.0%)の順と構成されています。
在留資格別では、「技能実習」が全体の47.9%を占めており、「製造業」は外国人労働者数全体の42.8%、外国人を雇用する事業所全体の34.8%を占めています。
外国人労働者、外国人労働者を雇用する事業所ともに「製造業」が最も多く、「製造業」は外国人労働者を雇用する事業所全体の 33.9%、外国人労働者数
全体の45.7%を占めています。
外国人材雇用情報提供窓口
島根県では、県内企業に対して「外国人材雇用情報提供窓口」を設け、団体・組合等の単位で「出前講座」も実施しています。
情報提供内容:
- 出入国管理及び難民認定法、技能実習法、特定技能などの制度の内容
- 外国人の採用や雇用管理の方法
- 雇用した外国人に対して企業が行う各種支援の内容
- 問い合わせ内容に応じた専門機関への取次ぎなど
外国人雇用の基礎知識マニュアル
県単位での配信は全国的にも珍しいですが島根県では、外国人材の受入れを検討する企業に向けてマニュアルを配信しています。
詳細リンク先:外国人雇用の基礎知識マニュアル(島根県商工労働部雇用政策課 多様な就業推進室)
島根県では県が主催し、 2019年には計3回の外国人雇用にまつわるセミナーを実施しています。
岡山
外国人労働者人数(2019年10月現在)19,592人【全国第20位】
参考: 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)
中国地方では、広島に次いで外国人労働者数を有する岡山県では、国籍別では、「ベトナム」出身者が8,582人と最も多く、前年同期比 28.1%増加(外国人労働者全体の 43.8%)在留資格別では、「技能実習」が最も多い 9,252人で、前年同期比 20.1%の増加(外国人労働者全体の 47.2%)となっています。
外国人労働者のうち、とりわけベトナム人の増加が著しく、専門的・技術的分野の在留資格「技術・人文知識・国際業務」や、「技能実習」による受入れがさかんに行われていることがわかり、今後さらに割合を高めるものと思われます。
外国人労働者の雇用に関するパンフレットの配信
岡山県では、昨今の新型コロナウイルス感染症により、雇用情勢の影響を受ける企業向けに助成金等に関する情報をまとめた書類を、特設ページを設けて配信しています。(厚生労働省作成)
岡山県外国人相談センター
岡山県では、国際交流センター内に「岡山県外国人相談センター」を開設し、相談体制等の充実・強化を図り、国や市町村等と連携しながら、外国人労働者等の生活をサポートする体制を整えています。
所在地 | 〒700-0026 岡山市北区奉還町2-2-1 岡山国際交流センター内 |
相談内容 | (1)多言語による生活相談(医療、仕事、教育・子育て、年金・税金 等) ※必要に応じ、出張多言語相談を実施 (2)行政書士相談(在留資格、出入国手続き 等) (3)法律相談(離婚、金銭トラブル、雇用問題 等) |
対応言語 | 日本語、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、インドネシア語、他 |
岡山県 県民生活部 国際課の取組み
岡山県の国際化部門においては以下の情報配信をまとめており、先進的な取り組みと配信の姿勢が見受けられます。
- やさしい日本語
- 「日本語学習指導者スキルアップ研修会」報告
- 日本語学習リソースコーナー
- 岡山県内の日本語教室リスト
- 岡山県における在留外国人の状況
- 岡山多文化共生政策研究会の報告書
- 岡山県在住外国人生活状況調査の結果
- 岡山多文化共生政策研究会文化庁
- 日本語学習・生活ハンドブック
- 外国人労働者の雇用に関するパンフレット
詳細リンク先:多文化共生(岡山県公式ホームページ)
広島
外国人労働者人数(2019年10月現在)36,607人【全国第12位】
参考: 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)
中国地方で最も多い外国人労働者人数を有する広島県では国籍別で、ベトナムが最も多く13,135人(外国人労働者数全体の35.9%)、次いで中国9,072人(同24.8%)、フィリピン5,663人(同15.2%)の順に構成されています。
広島労働局によれば、対前年の伸び率で、ネパール(48.9%)、インドネシア(37.7%) も台頭してきていることがわかります。また、在留資格別では、「技能実習」が17,154人で2019年の前年同期比で 11.7%増 (全体の46.9%)「身分に基づく在留資格」が8,051人で前年同期比 10.5%増(22.0%)を占めています。
産業別にみると、製造業が18,699人と2019年前年同期比で10.7%増(全体の51.1%)を占めており、労働者の半数以上を占めていることがわかります。
広島県では、外国人雇用に関わる特設サイトを設け、全国と対比しても、多角的かつ充実した配信が見受けられます。
全44ページにわたる広島県独自のガイドブックには以下の内容で構成されています。
主な内容
- 外国人材の受入れの視点等
- 受入れ前の留意点
- 受入れ後の留意点
- コミュニケーション
- 災害や病気の際の対応
山口
外国人労働者人数(2019年10月現在)8,518人【全国第31位】
参考: 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)
全国比で実人数が少ないものの在留資格別では、「技能実習」 3,975 人(外国人労働者全体の 46.7%)、国籍別では ベトナム 3,385 人(外国人労働者全体の 39.7%)と、ベトナム人実習生の増加が著しい傾向にあります。
産業別にみると、「製造業」が 40.2%を占め、次いで「卸売業、小売業」が 21.4%となっており、産業を支える外国人人材がなくてはならない存在になってきていると言えます。
「外国人材雇用ハンドブック」(山口県)
山口県では、県内企業に対して、円滑に外国人材の受入れが進められるように支援するため、外国人材雇用制度や関係機関の紹介等を盛り込んだ「外国人材雇用ハンドブック」を作成しています。
外国人雇用ハンドブック(山口県)
主な内容
- 外国人材の雇用状況
- 制度紹介
- 国等関係機関の紹介
- 企業向けアンケート結果
- 留学生向けアンケート結果
- 外国人留学生雇用 企業紹介
まとめ
各地方自治体、都道府県、省庁が配信している情報について今後もまとめて配信をしていきます。
外国人を採用したいと検討する企業が多いなかで、何から始めれば良いのか、必要な手順は何か、相談先はどこか、各政府、自治体の公開情報がある中で、どの業界にも制度にも通ずる、1冊にまとまった外国人採用の手引き、教科書(ハンドブック)と言ったものはまだ整備されていません。本記事を通じて、各都道府県の取組の周知、比較となれば幸いです。