この記事では採用にコストをかけずに、もしくは大幅に改善して優秀な人材を採用できる方法について解説します。これまで日本社会では「採用」=「お金がかかるもの」というイメージが付いていましたが、最新の採用手法を知ることで、採用コストを削減もしくは、コスト0採用が実現できます。
優秀な人材を採用したいけれど、会社に採用予算はない・・・
採用活動が上手くいっていないが、これ以上採用コストはかけられない・・・
こうしたことでお悩みの方はぜひ参考にしていただければと思います。
なぜ採用コストはかかるのか
本題を前に、まずは採用コストの全てを洗い出して考えます。企業における採用コストは広い定義では、
【内部コスト】
- 採用担当者の人件費
- 面接評価者(管理職・役員)の人件費
- 採用に関わるハードウェア費用(パソコン、プリンター機材等)
- 採用に関わるソフトウェア費用(通信費等)
- 採用に関わる移動交通費
- 会社説明会の会場設置費
【外部コスト】
- 人材会社への求人掲載料
- 人材紹介会社への紹介手数料
- メディア広告出稿料(新聞、雑誌、フリーペーパー等)
- 採用ホームページの作成依頼費
- 各種採用アカウントの維持管理費
- 就職活動イベントへの出展料
こうした採用コストが想定され、たとえば大手企業の新卒採用(100名とする)においては、新卒1名につき200万円の採用コストがかかっています。これには、会社説明会の費用、採用サイトの制作費、運営委託費、面接に入る役員クラスの人件費(1時間~2時間)などが含まれています。また、内定者のうち辞退した人材に対しても同様のコストがかかっているため企業の採用コストとしてみると、数百万円単位が採用コストとしてかかります。
また、たとえば新卒採用コストを長い目で見た場合に、採用した人材が求める能力をいかんなく発揮するまでの期間、ここにかかる教育費、給料や手当を含めると、「将来の有望株」を育てるためには、相当の採用コストと体力が必要になります。
また、入社した社員がすぐに辞めてしまうことで、入社する前と後にかかった採用コストは実質水の泡となってしまい、企業としては大きな損失になることも考えられます。「採用」と「コスト(パフォーマンス)」は肝となるのです。
日本の人材ビジネス
「人材を採用する」企業が思いつく採用手法にはどのようなものがあるでしょうか。当メディア「次世代採用ナビ」では、これまでの日本の採用手法を以下のように分類分けしています。
- 自力型
- 自力Ⅱ型
- 外部活用型
- 外部コンサル型
自力型(縁故採用)
人材紹介ビジネスなどが普及していなかった頃、日本においては(戦後1947年に制定された職業安定法が基準とすると)、現在の「派遣業」に近しい人材ビジネスは存在していたものの、多くは縁故採用、つまり人づてに採用をしたり、家族の血のつながりで社員を雇用していたことが一般的でした。
現在の日本でも「縁故採用」は採用手法の一つであることは変わりなく、「採用コスト0」の理想型であることに間違いありません。
自力Ⅱ型(自社採用サイト、店前貼り紙)
パソコンやスマートフォンの普及により、企業や店舗に関する情報はインターネット検索することが一般的となり、自社のホームページを持つ企業も多いと思います。ここに採用ページを設けることで、企業や店舗に興味を持ってもらえた人材からの応募が見込まれ、こちらも「採用コスト0」の理想型といえます。
世界中の誰もが閲覧できるインターネット上とは異なり、店前に人材募集の張り紙を出すこともひとつの採用手法として活用されていますが、これには「採用コスト0」のメリットの他、地域を限定した求人が出せることが最大のメリットであり、求人は必然的に「近所に住む人」を特定した採用活動ができています。
外部(アウトソース)活用型
自社の力でどうしても採用が難しい場合、外部の人材系各社に求人を掲載してもらうことが次なる手です。ただし外部民間会社に委託する手法には採用コストがかかることがほとんどです。唯一、外部活用型で残されるコスト0採用は、「ハローワーク(公共職業安定所)」の活用です。 ハローワークに求人情報を登録することで、ハローワークから求職者への紹介がなされ、ハローワークを通しての採用した場合は、登録料、紹介料もないため、コストがかかりません。
外部活用のメインはメディア(新聞、雑誌、フリーペーパー)に対して広告掲載費を支払う(最安でも3万円程度~)ことや、求人サイトを運営する民間の人材会社に求人掲載料を支払うことです。
外部コンサル型
採用コストを予算として組める場合は、外部コンサル(人材紹介会社)の積極的な活用が効果的です。しかし、採用コストは採用1人あたりに対して少なくとも100万円は予算組みする必要があります。人材紹介業においては求人をもとにコンサルタントがデータベース上から応募要件とマッチする人材を紹介してくれるため、応募の段階でミスマッチの少ない選考が実現できます。
タイプ | 求人拡散範囲 | 採用コスト | 応募者の求人への関心 |
自力型 | 超限定的 | 0円 | 高い |
自力Ⅱ型 | 限定的 | 0円 | きわめて高い |
外部活用型 | 広範囲 | 3万円~100万円 | 個人差があり |
外部コンサル型 | 限定的 | 100万円~ | 個人差があり |
上記がこれまで日本で風習化されてきた採用手法であり、日本の人材ビジネス業が成り立ってきた根拠であると言えます。この歴史を語るうえで欠かせないのは、最大手「リクルート」の存在です。
リクルートは1960年に企業と学生を結ぶ情報誌を発行したことから人材ビジネスがはじまり、「終身雇用」が当たり前だった日本に「転職」の文化を確立させた企業です。また、1999年の有料職業紹介事業の規制緩和を皮切りに、人材紹介ビジネスが日本国内で盛んに台頭することとなり、中でも業界1位の不動の地位を築いたのがリクルートです。
リクルートをはじめとした人材会社各社の急速な拡大、営業マーケティング力によって、人材採用ビジネスの地位は日本社会の確固たるものとなり、今日まで企業の多くは採用手法を外部に委託する形で採用コストをかけてきました。
しかし、2020年の今、この「採用ビジネス」に大きな変革がもたらされようとしており、これからの時代は、外部に依存することなく、自社でコストを最小限に抑え削減した採用活動ができるようになります。
知らないと損をする2020年の最新採用メソッド
これからのコストをかけない「次世代採用」のポイントは、いかにして「雇用者」と「求職者」という垣根を超え、「ご縁」を継続して持ち続けることができるか、これに限ります。
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
SNSに代表されるFacebookは今や25億人を超えているユーザーが利用しており、一見若者のコミュニケーションツールに見えるかもしれませんが、海外ではすでにビジネスシーンでの活用が主流となっています。
Facebook(フェイスブック)をはじめとするSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)では、個人がアカウントを持ち、自身のプロフィール(学歴、職歴、所在地、趣味、活動内容)を公開し、インターネット上で申請/承認し合うことで「友だち」(リレーション)を作ることができます。
たとえば、現実世界で「ビジネス交流会」があった場合そこで行われる関係性構築(例:名刺交換)には、人数の限界(会の参加者)がありますが、SNS上では、ほぼ無制限に、ワンクリックで関係性構築をする機会があります。
このSNSは個人のために作られたものではなく、企業がアカウントを持つこともでき、世界中の企業が自社のFacebookアカウントを持っているのです。コスト0採用の可能性はまさにここにあり、企業または個人のアカウントを作りSNS上で人や企業、団体、組織との関係性構築を広げていくことで、将来の採用人材に出会う機会が生まれます。
またFacebookをはじめとしたSNSサービスでは求人掲載機能がすでにそなわっており、また同サービス内でチャット機能を搭載しているので、気軽にコンタクトを取ったり、「問い合わせ」をすることができます。
またSNSの最大の魅力はその「発信力」にあり、自社の商材やサービス内容など魅力コンテンツを全世界に配信することで、これまでの店前の張り紙、閲覧者が限定的な求人サイト、企業によって量の異なるデータベースの場に提供されていた求人情報よりも、幅広い求人の展開(露出)が期待できます。
SNSで関係性構築をした「友だち」は今すぐビジネスにつながらなくとも、将来「ご縁」が生まれるかもしれないことを考えれば、このSNSの利用をしない理由はありません。
SNS一覧と公式サイトへのリンク
無料求人掲載サイト
求人サイトはお金がかかる、という常識を覆したのは、TVCMでも耳にする「Indeed(インディード)」です。インディードはアメリカで生まれた「求人検索エンジン」型で、キーワード検索をもとに求職者が一度に複数の求人掲載媒体(企業サイトの採用情報、民間求人サイト、ハローワークの求人情報等) から求人閲覧できるサービスです。
無料求人掲載サイトのからくりとして、たとえばIndeed(インディード)では、求人掲載無料とする一方で、その広告を優先表示させるプランを設け、クリック課金制による収入をビジネスモデルとしているところもあります。
クリック課金制・・・求人掲載1件につき、又は、1か月つき~万円という仕組みではなく、求人がクリックされた回数に応じて掲載費を支払う仕組みのこと。
また、求人掲載までは無料ですが、採用した際には成果報酬として利用料を請求されることもあるので、この点は注意して登録することが必要です。
その他、求人サイトに広告を表示させ、その広告費で収益を得るものもあれば、 求人掲載以外で利益を上げている求人サイトもあり、その特徴はさまざまです。登録から制限された期間内のみ無料のパターンもありますので、良く注意して活用していただきたいと思います。
ATS(採用管理システム)
採用管理システム
ATS(採用管理システム)は、自社の採用サイトにシステムを導入するだけで、応募者の管理、面接調整、選考プロセス管理、採用通知まで、システム一括で作業でき、人材採用の手間やコストが大幅に改善されるシステムです。
(ATSの略)
- Applicant ・・・応募者
- Tracking ・・・追跡
- System・・・システム
採用管理システムによって、もたらされるメリットは以下のようなことがあります。
・複数の求人サイトに同時に求人掲載でき、応募状況も一つのシステム内で一括管理可能
・応募者の履歴書、職務経歴書、選考段階をシステム内で一覧表示が可能
・選考の日程調整、合否の通知などが全て自動化、煩雑な業務が大幅に削減
・採用活動のデータがシステムに蓄積され、採用の課題(例:内定辞退率)が見える化
ATS採用管理システムで有名なサービスとして、以下リストアップします。
タレントプール
ATSの機能で一般的な「タレントプール」は、世界中に普及している「新しい採用方法」のひとつで、世界的に有名な大手企業では当たり前に使われる採用手法です。
タレントプールは、わかりやすく言うと、今すぐ応募しなくても会社に興味をもった候補者、今はご縁がないけれど接点を維持したい有望な人材(タレント)をデータ蓄積(プール)することです。
採用方法はこれまで、書類選考~面接~採用合否~入社というプロセスを踏むものでしたが、そのときどきの求人ポジション、求人枠(人数)、候補者で合否で白黒つけるのではなく、人材が必要なときに、必要なスキルを持つ人材をプールした自社データベースから探しタレント(候補者)に声をかけることができるのがタレントプールという採用方法です。
まとめ
以上、「知らないと損をする2020年の最新採用メソッド」について、前段ではこれまでの日本社会における「採用コスト」の常識を述べ、2020年の新しい採用手法として、
- SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
- 無料求人掲載サイト
- ATS(採用管理システム)
この3つをご紹介しました。時代ごとに生まれる便利なツールを利用することで大幅な採用コストの削減が実現できるはずです。
ご参考になれば幸いです。