外国人雇用、とりわけ技能実習や特定技能制度においては、就業時間中のみならず、私生活においても、外国人社員が安心安全に生活できる環境を提供することが義務とされています。
では、外国人社員の私生活については、どの程度まで干渉すべきなのでしょうか。子どもではなく、一社会人の大人ですので、距離感と言うのは悩ましいところがあります。とはいえ、慣れない日本生活なので、サポートしてあげたいという気持ちも強くなります。
はじめのうちは、レジャーに誘ってみる
入社したてのときは、まだお互いのことを知り得ていませんし、仕事場だけの関係では話しにくいこともあるので、休日を使ってレジャーに誘うことをおススメします。(または、社員旅行を企画するところもあります)
地域ごとにレジャーの幅に差はありますが、公園を案内したり、魚釣りをしたり、スポーツクラブに誘ったり、とにかく仕事以外の付き合いを持つことはお互いにとってよい効果が生まれます。
また、多くの外国人人材は、写真を撮影することが好きですから、きれいな写真が撮れる「インスタ映え」スポットなど、を案内すると喜ぶはずです。
近隣の外国人コミュニティを調べる
居住・勤務先エリアに同じ国籍のコミュニティ、外国人コミュニティがあるか、調べます。日本生活に慣れてくると自然と色々な交友関係を作ることができますが、健全なグループもあれば、犯罪に巻き込まれかねないグループもありますから、どのような交友関係があるか、という点は、普段の会話の中で、おさえておくことをおススメします。
違法行為などを事前に理解してもらう
当メディアの姉妹サイトjNaviでは、在日外国人向けに、日本で急増する「外国人の犯罪について」記事を作成しました。(ベトナム語対訳は言語タブから切替可能)
ここでは、不法就労、偽造カードの製造と使用、運び屋などについて解説をしています。残念ながら、SNSの発達によりこうした情報は、外国人人材の耳に入りやすくなり、その誘い方も巧妙です。
天災に関する注意事項
日本生活で不安なのは、地震・台風・津波に始まり、豪雨、雪崩など季節性の天災も多くあるため、情報弱者となる在日外国人にとって、不安要素となります。
- 海、海水浴場、プール
- 川(釣り、キャンプ)
- 山(ハイキング・キャンプ)
毎年、こうしたレジャーに出かけた外国人が遭難、事故、死亡するニュースも目にするようになりました。
こちらの記事「海や山のレジャーで気をつけること」では、以下のような注意喚起をまとめています。(ベトナム語対訳は言語タブから切替可能)
- 天気予報を確認し、天気が悪いときは海、川、山に行かない。
- 日本人の知合いと行くか、遊びに行く場所を知らせ、危険がないか確認をしてもらう。
- 「立入禁止」「遊泳禁止」と書かれたエリアには絶対入らない。
- 子どもは1人にせず、大人でもなるべく1人で行動しない。
- 事故が起きたら「110」をダイヤルして、警察を呼ぶ。
- 自分の体力、経験にあった山を選ぶ。
- 山登りにふさわしい服を選ぶ(靴、肌を出さない服など)
- 山登りのコースを確認し、わからなくなったときは、正しいコースに戻る。
- 山で遭難そうなんしたときは、自分たちで下りようとせず、助けを待つ。
- 助けを呼ぶために、携帯電話などの通信ツールを持ち歩く。
- 山で迷ってしまったときのために、非常食、救急セットを持ち歩く。
なお、地震や台風について、注意事項をかんたんな日本語(及びベトナム語対訳)でまとめている記事「地震や台風のときには・・・」もご活用いただけます。
- 棚や冷蔵庫の「下じき」にならないよう、大きな家具から、はなれる。
- 倒れにくい机の下などに入り、頭を守る。
- 地震でドアが曲がって開かなくなるため、ドアはすぐに開ける。
- 揺れが収まったら、火事にならないよう、ガスの火を消し、ブレーカーを落とす。
- 近くに住んでいる日本人に声をかけ、いっしょに近くの避難ひなん所(にげるところ)に行く。
- 家を出るときは、荷物をまとめたりせず、すぐに外に出る。
日本のマナー全般について
案外おろそかにしがちなのは、日本のマナーやモラル、条例に関する事項です。
別記事:日本で「やってはいけない」ことでは、以下の事項について解説しています。ご存じの方も多いかと思いますが、鎌倉の江ノ島電鉄では、写真撮影をする外国人であふれ、線路内侵入などの危険行為が問題になっています。
- 撮影禁止
- タバコの禁煙(きんえん)場所
- 列の割り込み禁止
- ゴミ出しのルール
- 落書き禁止
どれも、当たり前にもってほしい、マナーやモラルでありますが、これを知らずして、他の外国人が行っていることについて「私も同じことをしてもよい」と勘違いをしないためには、事前に教え込むことが大切です。
特に列の割り込みについては、まだアジア諸国では一般的に行われていることですので、外国人社員には習慣化していただきたいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本の私生活に関する注意喚起をいざしようとなると、何をどこまで教えればよいか、戸惑う方も多いと思いますので、在日外国人向けに執筆しました記事とあわせて、ポイントを解説致しました。