コスト0円で「日本語学習」‐|今日から実践できる指導メソッド【外国人雇用】

コスト0円で「日本語学習」‐|今日から実践できる指導メソッド【外国人雇用】

外国人社員がこれまでどのような学習方法で日本語を習得してきたか、考えたことはあるでしょうか。外国人社員の日本語力向上に課題を感じている企業の方も、日本語を教えたいのだけど、どのように教えたら良いか分からない企業の方に向けて、この記事では、外国人社員に教えたい効率的な「日本語学習」メソッド、日本語学習方法について解説します。

日本語を学ぶきっかけ

「なぜ日本語を勉強し始めましたか?」と面接で聞けば、多くの答えは、

  • 小さいころから親しんだアニメやマンガ
  • 旅行で好きになった
  • 日本文化に関心がある

このあたりが理由として挙げられるでしょう。

日本語学習で最も多く聞くきっかけは、やはりアニメやマンガで、「クールジャパン」に紐づくところが多いといえます。

多くの日本語学習者は「子音+母音」の発音しやすいシンプルな言語構造である日本語の「話す・聞く」を得意としながらも、難解な漢字と向き合う「読む・書く」を苦手に感じる学習者がほとんどです。

(ベトナムは歴史上漢字を使用した時代がありますがフランス領の影響から現在はラテン文字を基本とした文字「クオック・グー」が使われています。街中の寺院には漢字が多く見られますが、若者を中心にほとんどの国民は読むことができません。)

日本語学習方法

アニメやマンガで日本語を独学で覚えた、という外国人が最近多くいますが、こうした娯楽が「教科書」になっていることは事実です。しかし、アニメやマンガで覚えた表現をそのまま使用すると、「お前」「貴様」「おぬし」なんて言葉を日本人に対して使うこともあります。

モチベーションに影響したり、ボキャブラリを増やすためにはアニメやマンガは効果的ですが、ビジネスで使える日本語習得するためには、やはり日本語教室に通う、ということが得策かもしれません。

しかし、コスト面で、なかなか福利厚生として日本語研修を設けることは時間と予算の関係が難しい企業も多いはずです。そうした場合はまず、雇用者自身が「日本語学習」はどのようなカリキュラムの元成り立っているのか知る機会が大切だと提唱します。

また、昨今の技術をもってすれば、コスト0円で日本語学習の環境を作ることができる時代ですので、無料で使えるおススメの学習ツールをご紹介します。

こうしたことを理解することで、業界や企業毎の専門用語などを解説する日本語研修の機会を設けたり、自社ないで外国人雇用・育成のノウハウが高まるはずです。

日本語教材(無料で使えるツールもあり)

読解

みんなの日本語

日本語学習者で知らない人はいない、日本語学習者の「バイブル」と言えるでしょう。「みん日(にち)」の愛称でも親しまれているこの教科書は、株式会社スリーエーネットワークが出版しています。日本語学校のほとんどがこの教材を使用していると言っても過言ではないです。

NEWS WEB EASY

この他、NHKが配信するNEWS WEB EASYでは、やさしい日本語で書いたニュースが読めるため、外国人に人気です。本サイトは外国人や、小学生、中学生のために作られたサイトです。

jNavi

また、CONTROLグループが運営するjNaviは、日本の生活情報、日本語学習、日本就職に関する情報を日本語で配信しており、難解漢字にはふりがなが振ってある外国人向けメディアです。言語タブ切替によって、日本語記事を外国語(現在はベトナム語のみ)で読み直すことができるので、読者自身がどれだけ日本語を理解できたか、母国語で確認することが出来ます。

(サンプル)jNavi-日本の会社で働くうえで「気をつけるべき10のこと」

聴解

YouTube

YouTubeはいまや、日本語教材の一つとして普及しています。日本語教師がYouTuberとして活躍していることも多くなってきています。ベトナムでは、ベトナム人自身が日本語学習チャンネルを開設するなどして、リスニングや文化理解に関する動画配信をしています。(例:Samurai Chan Official Channnel日本語の森

会話(発話)

人工知能AIの時代といえど、まだスピーキングに関しての教材は、対人間のマンツーマン指導が主流です。

日本語クラブ

日本語を話す外国人同士で集まって、会話を楽しんだり、ゲストに日本人を招いてディスカッションをする場があります。海外の大学にある日本語学部では、この会話を中心としたカリキュラムもあるため、大学の授業やサークルなどでも日本語クラブを利用する学習者は多いはずです。

なお、会話中心のカリキュラムに対し、「文法読解」を中心に教えるカリキュラムと、大学によって流派が分かれています。こうした背景から出身大学によって日本語の得意・不得意が分かれる傾向があるのです。

オンライン日本語講座

日本人の外国語学習者にもなじみ深い「オンラインレッスン」は、日本語でも展開されています。日本に来てからなかなか仕事終わりなどに日本語学校に通えない学習者はこうしたツールを使って勉強する方法もあります。

オンラインスクール大手:JAPAN ONLINE SCHOOL

筆記

筆記については、ネイティブの日本人に頼るしか成長の兆しは見えないはずです。海外で生活をしていると、Facebookのメッセンジャーなどで、日本語添削の依頼を毎週のように日本語学習者から受けます。

では、彼らはまず、何をもとに日本語の筆記に取り組むのでしょうか。多くの日本語学習者のライティング力から見て分かるのは、Google翻訳を使っていることが多いのと、こうした自動翻訳機能を集約したサイト、ベトナムでは、Mazii というサイトを利用しています。

しかし、こうしたサイトの翻訳クオリティ自体はまだまだ高くないうえに、管理者が日本語学習者(非ネイティブ)自身であるために、あちこちに誤用、誤った情報が散見されるのが現状です。

あなたが聞く、見る日本語学習者(外国人社員)の日本語に違和感があるのは、こうしたサイトの引用が原因の一つと考えられます。(例:意味難解な漢字を使う、急に文章が堅苦しくなる、日本人の若者言葉をそのまま引用する。)

日本語能力を計る試験

日本で外国人を採用する多くの企業では日本語能力を求めるため、その指標の多くは日本語試験の取得結果に委ねられるはずです。ここで有名な日本語試験をいくつかご紹介します。

日本語能力試験 – JLPT

主催:日本国際教育支援協会 国際交流基金

日本語学習者にとって最も有名なのが、日本語能力試験 “JLPT”(Japanese language Proficiency Test)試験です。”N1″(最も難しい)~”N5″(最も簡単)の5段階でレベル分けがされ、合格/不合格で結果通知されます。本試験は年2回(7月&12月)全世界で開催。
※詳しいスキルの目安については、日本語能力試験(JLPT)(公式)のこちら。

このほかには、

日本語NAT-TEST

主催: 専門教育出版

5つの級(レベル)ごとに、「文字・語彙」「聴解」「読解」の3つの分野の試験によって日本語能力を総合的に評価します。出題の基準と構成は日本語能力試験(JLPT)とほぼ同じです。NAT-TEST試験は年に6回の実施なので、日本語学習の進み具合をより細かく確認することができます。

実用日本語検定 J.TEST

主催:日本語検定協会

J.TESTは聴解部分の比率を大きくし、総得点の50%とするなど、実用的な能力を測定する事を重視した試験です。他にも日本文化の理解や、新聞、雑誌から日々のニュース、ビジネス文章、グラフなどが問題として採用されているため、受験生の総合力と実用能力を客観的に評価できます。

BJTビジネス日本語能力テスト

主催:公益財団法人 日本漢字能力検定協会

最近注目されている「ビジネス日本語」能力を計るテストがこのBJTです。

BJT(ビジネス日本語能力テスト)は、ビジネス・コミュニケーションの能力を測るテストです。日本のビジネス社会で働こうとする人はもちろん、基礎的な日本語をマスターした人にも受験されています。

また、外国人採用を積極的に行う企業や留学生を受け入れる大学や日本語学校などで活用されており、法務省入国管理局から証明基準としても認められている試験です。

BJTビジネス日本語能力テストには基本的に合否はありません。取得したスコアによって能力のレベルが判定できます。英語試験TOEICと同様の形式です。( 0~800点の点数(スコア)と、点数に応じたJ5~J1+の6段階のレベルで評価されます)

つまり、受験者の能力に変化がない限り、何度受験しても同程度のスコアになるよう設計されているので、能力の向上を細かく確認できます。

他の試験と比較し、BJTはビジネスで使う日本語表現に特化していることが特徴です。そのため、言語能力だけでなく、ビジネスの現場における、適切な言葉選び、マナーについても評価の対象となります。

サンプル問題をご覧いただき、そのテスト精度の高さを実感してください。

日本語学習のポイント

母国語として日本語を習得した私たち日本人とは(もちろん)異なる形で日本語学習をする外国人社員に対し、こうした試験や日本語教材のカリキュラムを理解した接し方をすることで、飛躍的に日本語力向上につながる可能性があります。

「日本語教育」とは、奥が深い学問の一つで、日本語教育専攻、日本語教師養成講座、日本語教育能力試験など、様々な形式でその教育メソッドを学ぶことができます。

日本語教師の指導は日本語ネイティブであれば、だれでも教えられるほど、かんたんなものではありません。たとえば、

A:これは山田さんのものです。
B:これが山田さんのものです。

この文章の違いを、日本語運用能力が日常会話程度の学習者に、どのように説明し理解してもらえるか、想像できますでしょうか?

外国人採用をされる企業担当者の方で、時々こうした日本語教師の勉強を始める方もいらっしゃいます。そういった姿勢は日本語学習者である外国人社員にはうれしいものだと思います。

日本語教育カリキュラム受講、受験しないまでも、少なくとも、外国人社員がどのようにして日本語を学んでいるのか知ることは、雇用者と外国人社員の関係をより良くすることだと、みなさまにご提案します。

まとめ

外国人採用の際に見落としがちなのは、こうした日本語スキルの証明となる試験結果を、特徴を理解せずに指標として過信し、実際に企業が求める日本語スキルを持っていない外国人を採用するケースが多いことにあります。

また、やみくもに日本語を我流で教えたとしても身につくとは限りませんし、そのままでは雇用者と外国人社員のお互いが「何を言ってるかわからない」ストレスを感じ、心の距離感が生まれてしまうかもしれません。

もし周囲に日本語学習者の外国人がいれば、彼らがどのレベルの日本語力を目指しているのか、そのためにどんな目標を持つべきか(〇〇試験で~点を取る!等)一緒に考えてあげることが、企業独自の日本語教育プログラムを始めるきっかけになると考えます。

最後に、日本語教材に関するまとめサイトとして、独立行政法人国際交流基金(The Japan Foundation) のこちらのホームページでさまざまな教材を紹介しています。

外国人社員や周りの日本語学習者で課題を持つ方がいれば、こうしたサイトを案内することをおすすめします。

日本人の皆様にとっては、あたりまえの日本語ですが、外国人の日本語学習者から見た視点を知ることで、外国人社員の苦労、トラブルの要因、指導のコツなどあらゆる気づきのきっかけになればと思います。

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