昨今、日本では「働き方改革」と称して働き方の多様化を進めています。数ある働き方の一つに「フリーランス」があり、個々が持つ特技や専門性の高い技能を活かした働き方が可能・勤務時間や勤務場所に縛られない等の理由で急増しています。
また、従来のフリーランスといえば営業活動を行って人脈を広げて直接業務を請け負うものでしたが、インターネットの普及に伴い「クラウドソーシング」や「スキルシェア」「エージェント」など、フリーランスと企業(クライアント)を仲介するサービスが続々と登場しており、業務依頼する側・される側、どちらにとっても契約先を探し出す手段は進化し、選択の幅が広がっています。
今回は、フリーランスが仕事を得る手段としてその手軽さや利便性から急速に普及してきている「スキルシェア」について詳しくご紹介いたします。
そもそもフリーランスとは
フリーランスは、会社員のように企業と雇用契約を結ばず、独立してクライアントと契約する働き方です。勤務時間の融通が利きやすい、専門外の雑務などを行わなくても良いなどのメリットがあります。
しかしその反面、税金や年金・保険料に関する手続きを自分で行う必要があったり、クレジットカードや不動産の審査が通りづらくなるなど、マイナスな面もあります。
フリーランスとして、安定して契約を取り続けるためには、しっかりと自己管理を行い、業務に対する責任感を高水準で保つことが求められます。
フリーランスが仕事を得る経路
フリーランスが仕事を得るルートはいくつか存在します。代表的なものをここにご紹介します。
人脈
既に持っているコネクションから契約先を探し、仕事を直接もらう方法。
SNSやブログ
twitter・facebook等のSNSやブログ経由など、WEB上でつながったフォロワーから業務依頼される、またはフォロワーに自分の保持スキルを売り込む方法。
エージェント
フリーランスを求める企業とフリーランスの間に入り、契約の仲介をしてくれるエージェントを利用する方法。
代表的なフリーランス用エージェント:レバテックフリーランス、ギークスジョブ、フォスターフリーランスなど
クラウドソーシング
クライアントとフリーランスの仲介を行うWEBサービス。案件ごとに募集をかける方法が一般的。長期案件や長期契約に繋がる場合もある。
代表的なクラウドソーシング:クラウドワークス、ランサーズ、ジョブハブなど
スキルシェア
今回ご紹介するスキルシェアは、自分が持っている能力や技術を売り出すサービスです。例えば「写真をうまく撮ります」や「絵が描けます」など、思いつくものなら何でも値段を付けて販売可能。クラウドソーシングはクライアントがスキルの売り手を募集する形ですが、スキルシェアはその反対。技能の売り手が買い手を募集する形態となります。ちょうどフリーマーケットの売り手側のようなイメージです。このスキルシェアは、技術の売り手が仕事内容や価格を決められ、既に持っている能力を販売できるため、提供側としては非常に働きやすく自由度が高いと評判です。
そしてフリーランスだけでなく、会社員にもおすすめなのがスキルシェア。案件ごとに技能や時間を販売するため、本業の合間に手軽に稼ぐ手段として注目されています。特に2020年はコロナウィルス(COVID-19)の流行により、本業の収入が減少したサラリーマンが副業として活用するケースが増加しています。また、本業で身に着けた知識や技術を錬成するために副業という形態をとるケースもあります。
なお、「CtoCサイト」や「スキル売買サイト」と呼ばれるものも基本的にスキルシェアと同じく、「技能の売買を扱うWEBサービス」なので同一のものを意味します。
これらは総合して「シェアリングエコノミー型サービス」と括られて呼称されます。厳密な定義としては、
個人等が保有する活用可能な資産等(スキルや時間等の無形のものを含む。)を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動
出典元:シェアリングエコノミー検討会議 中間報告書(内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室)
とされており、シェアリングエコノミーの最も顕著な特徴は、
消費者が事業者からモノ・サービスの提供を受けるという「B to C」の形態ではなく、マッチングプラットフォームを提供する事業者(以下「シェア事業者」といいます。)を介して、不特定多数の個人がモノ・サービスを提供し、それを利用するという「C to C」の形態が基本となっている
出典元:第1部 第2章 第1節(4)シェアリングエコノミー型サービス(消費者庁)
上記の点にあります。本記事においては便宜上「スキルシェア」または「スキルシェアサービス」と記述させていただきます。
代表的なスキルシェアサービス
近年のフリーランス業界でのトレンドの一つ、スキルシェアサービスをいくつかご紹介します。前述の通り、スキルシェアは自分の能力や技術を販売するサービスです。各社それぞれに特色がございますので、ご自身の用途や得意領域に合ったサービス選びの参考にしていただければ幸いです。
ココナラ
【主な特徴】
・自分が持っている「技能」を販売
・スキルシェア最大手。利用者は70万人以上
・幅広いジャンルに対応
・販売する技能に対して自由に価格を付けられる
・オプション設定も自由
・専用のアプリが利用可能
・ポイント制度あり
国内のスキルシェアで最も利用者が多いのが「ココナラ」(株式会社ココナラ)です。占いやカウンセリング、作曲や歌データの販売、ライティングからプログラミングまであらゆる特技を出品できます。価格設定も自由なので、ご自身の技能にどれ位の値段が付くのか挑戦することが出来ます。ちなみにココナラでは案件のことを「トークルーム」と呼んでいます。
ただし最大手というだけあり、多くの登録者が得意領域の技能を出品し、買ってもらうためにしのぎを削っています。同じジャンル内で高水準かつ低単価を売りにしている相手がいる場合は、付加価値を付けなければ競合相手に負けてしまう状況になることもあるようです。
タイムチケット
【主な特徴】
・30分単位で「時間」を売買
・特技が無くても参画できる
・すきま時間を活用して稼げる
・アイデア次第で様々な提案が可能
・専用のアプリが利用可能
・ポイント制度あり
タイムチケット(株式会社タイムチケット)が他のスキルシェアサービスと異なる点は、30分単位で「時間」を販売できることです。「時間」はどんな技能を提供するかの情報とセットにして「チケット」という形でシェアされます。それを見た利用者が求めているものと合致した時に購入していくイメージです。ちなみにタイムチケット内での販売者は「ホスト」、購入者は「ゲスト」と呼ばれます。
デザインやコーディング、コンサルほか実務的な技能も30分単位で時間設定のうえ販売できますが、例えば「2時間話し相手になります」や「1時間引っ越しの手伝いをします」というような、特別な技能が不要なものも販売できます。
もちろん、専門性が高いもののほうが高値でも購入される可能性は高まりますが、サラリーマンの副業用途では参入障壁が低く、30分単位の時間指定ができるためおすすめです。
技能水準の高低に関わらず、時間さえ確保できれば何かしら売れるものが見つかるサービスが「タイムチケット」と言えるでしょう。
スキルクラウド
【主な特徴】
・自分が持っている「技能」を販売
・何かを教えるなど、「ノウハウ」の販売も可能
・直接会って行うビジネスも対象。なお、金銭のやり取りはスキルクラウドを通す必要がある
・が2018年と比較的新しいため、出品した技能を買ってもらえる可能性が高い
・ポイント制度あり
スキルクラウド(株式会社ヒューマン・コネクト)は、2018年にリリースされたスキルシェアサービスです。ココナラ(株式会社ココナラ)と同様に、幅広いジャンルに対応可能です。スキルクラウドはココナラに比べてリリースしてから日が浅く、出品者数も購入者数もまだまだ伸びる余地があります。
購入者に直接会って行うビジネス(コンサルや相談対応など)や、ノウハウの販売(ビジネス情報や絵のレッスンなど)も可能なため、これから起業しようと思っている方がビジネス基盤を築く際の取り掛かりとしても利用できるでしょう。
スキルクラウドを特におすすめしたいのは、売りたい技能があってもココナラでは価格競争や技能レベルの面で他の出品者に負けてしまい、思うように売ることができないユーザーです。先述の通り、スキルクラウドはまだ出品者がそこまで多くはなく、ライバルが少ない状況です。他の総合型スキルシェアでは売れなくても、スキルクラウドでは売れる可能性がありますので、まずはご登録をおすすめします。
手数料などについて
ココナラ
【手数料】
販売総額に応じて変動
・1~5万円以下・・・25%(税別)
・5~10万円以下・・・20%(税別)
・10~50万円以下・・・15%(税別)
・50万円以上・・・10%(税別)
【振込手数料】
・振込申請額が3,000円以上・・・無料
・振込申請額が3,000円未満・・・160円
タイムチケット
【手数料】
・5万円以下・・・25%(税別)
・5~10万円以下・・・20%(税別)
・10万円以上・・・15%(税別)
【振込手数料】
・一律300円
スキルクラウド
【手数料】
・一律で販売総額の20%
(税金は株式会社ヒューマン・コネクトが負担)
【振込手数料】
・一律160円
<3社の手数料・振込手数料比較表>
サービス名 | 手数料 | 振込手数料 |
ココナラ | 最大で販売総額の25%(税別) 販売総額に応じて変動 | 3,000円以上で無料 3,000円未満で160円 |
タイムチケット | 最大で販売総額の25%(税別) 販売総額に応じて変動 | 一律300円 |
スキルクラウド | 一律で販売総額の20% (税金は株式会社ヒューマン・コネクトが負担) | 一律160円 |
3社とも、技能や時間が買い取られた時にはじめて手数料が発生します。そのため、出品するだけでしたら利用料は無料です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はフリーランス・副業向けのスキルシェアサービスを3社ご紹介いたしました。この記事では業種やジャンルに縛りが無い万能型を取り上げましたが、他にもITエンジニア向けやでデザイナー向けなど、専門領域を絞ったものも存在するため、ご利用の際はそちらも併せてご検討されることをおすすめします。
また、スキルシェアやクラウドソーシングは基本的に登録料が無料のものが多く、複数のサービスに登録しても問題ありません。ですので、いくつかのサービスを平行して利用されると案件獲得の成功率が上がります。一つのサービスを軸として、保険として他のサービスからも案件獲得を狙うとより確実でしょう。
フリーランスに業務依頼するクライアントにとっても、スキルシェアは魅力的です。今まで業務依頼先の探索は人づてであったり、フリーランサーに電話をかけるなどアナログなものでした。しかし本記事で紹介したようなサービスを利用すると、求める技能レベルと実際の技能レベルのミスマッチなども防げるなど、副次的なメリットもあります。
スキルシェア・クラウドソーシングはここ数年で利用者が増加し、今後もその傾向は続くものと見られます。ご自身の技能や時間の兼ね合い、利用頻度や狙いたい月間売り上げ額など多角的視点から利用するサービスをご選定ください。