2019年4月に人手不足解消を目的に新設された「特定技能」の就労ビザ(在留資格)ですが、認められている14分野の中には「宿泊業」があります。運用開始から1年が経過しますが、まだ周知が不十分ともいわれております。そこでこの記事では、特定技能【宿泊業】の概要をお伝えします。
そもそも特定技能とは?
特定技能とは、人手不足と認められた14分野の単純労働を含む業種で働き日本に滞在することを外国人人材に許可する就労ビザ(在留資格)です。特定技能には1号と2号があり、それぞれ取得要件や滞在期間なども異なります。また特定技能は特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。特定技能の就労ビザ(在留資格)の取得要件は、主に下記の2つです。
- 日本語能力試験に合格していること(規定あり)
- 技能評価試験に合格していること(規定あり)
詳しくは以下の記事をご覧ください。
別記事:「今さら聞けない・・・制度の基本と実情「特定技能」制度」
なお、2020年4月現在で特定技能2号が用意されているのは、建設業と造船の2業種のみです。特定技能2号は、在留期限の更新に制限はなく、要件を満たせば永住申請も展望できる在留資格であることが特徴です。
特定技能「宿泊」
宿泊業務は以下の4業務にカテゴリ分けされます。
- フロント業務
- 企画・広報業務
- 接客業務
- レストランサービス業務
なお、宿泊業務の技能実習2号を修了することで、試験を受けることなく特定技能1号へ移行することができます。
「宿泊業」の現状 は?
宿泊分野が特定技能14業種に指定された背景には、訪日外国人旅行者の増加傾向と元来からの人材不足があり、今後の日本の宿泊分野を支える人材として外国人を受け入れようという狙いがあります。
厚生労働省によると、平成29年の訪日外国人旅行者数は約2,869人であり、平成24年と比較すると実に3.4倍ほどの増加となっています。宿泊者数は近年の傾向として大都市圏では約2.2倍、地方では約2.8倍の増加となっています。
また、政府は2030年までに6,000万人以上の外国人観光客を誘致する計画を立てており、訪日外国人旅行者数は今後も暫くは増加の傾向にあるといえるでしょう。
一方で宿泊、飲食サービス業の従事者は減少を続けており、現在では約3万人の人材不足、2022年までに全国で約10万人の人材不足が発生すると予想されています。
宿泊業の外国人材受け入れ予定人数は向こう5年間で約2万2千人の予定ですが、それでもまだ不足すると考えられる計算です。
ちなみに2019年4月から2020年4月までに特定技能の試験が3回実施され、延べ728名の外国人が宿泊業技能測定試験に合格しています。
特定技能1号「宿泊業」の業務内容
宿泊業務は下記の4業務にカテゴリ分けされており、
- フロント業務
- 企画・広報業務
- 接客業務
- レストランサービス業務
想定される関連業務は
- ホテルまたは旅館施設内での販売業務
- ホテルまたは旅館施設内の備品点検や交換、補充業務
などがあります。
特定技能「宿泊業」要件
宿泊分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、次の試験に合格した者又は宿泊分野の第2号技能実習を修了した者、と定められています。
- 「宿泊業技術測定試験」
- 「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
宿泊業技術測定試験 とは?
宿泊業技術測定試験では学科試験と実技試験の両方を受験する必要があります。
学科試験では宿泊業務に関連する知識、例えば身だしなみ、マナー、言葉遣い、心持ち、好ましい立ち振る舞いなどの知識が問われます。
実技試験ではフロント業務、接客業務、レストランサービス業務の3業務を実技で評価されます。
特定技能測定試験について(一般社団法人宿泊業技能試験センター)
参考資料文献
一般社団法人宿泊業技能試験センター 「特定技能測定試験について」
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「特定技能」の中で「宿泊」分野に関する概要や、要件をお伝えしました。自社で特定技能外国人の雇用を検討している場合は、「支援計画」の策定実施や特定技能ビザ(在留資格)申請に必要な書類、また特定技能外国人を雇用する企業をサポートする「登録支援機関」の存在など、多くの知識が必要になります。よろしければ以下の記事をお役立てください。
別記事:「今さら聞けない・・・制度の基本と実情「特定技能」制度」
別記事:「登録支援機関の役割とは?」
別記事:「特定技能1号に必須!具体的な支援内容とは?」