≪必読!≫外国人雇用で留意すべき法律10のこと|【5分で分かる基礎知識】

≪必読!≫外国人雇用で留意すべき法律10のこと|【5分で分かる基礎知識】

外国人雇用に関して法律で定められた規定あることはご存知でしょうか。このような法律や規定などは能動的に調べなければいかないことが多く、周知徹底できているとはいえないのが現状です。今回は外国人を雇用するうえで雇用側(事業主)が留意したい法律についてお伝えします。

外国人雇用で留意したい法律とは?

外国人雇用に係る法律とは?

「雇用対策法」の第8条が外国人雇用するうえで最も重要な条文だといわれています。同様に「雇用対策法」の第9条も大切です。

「雇用対策法」の第8条

事業主は、外国人(日本の国籍を有しない者をいい、厚生労働省令で定める者を除く。以下同じ。)が我が国の雇用慣行に関する知識及び求職活動に必要な雇用に関する情報を十分に有していないこと等にかんがみ、その雇用する外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職業に適応することを容易にするための措置の実施その他の雇用管理の改善に努めるとともに、その雇用する外国人が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職する場合において、当該外国人が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該外国人の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない。

雇用対策法」e-Gov

この条文で確認したいことは下記の2点です。

  • 事業主は、外国人労働者が職業に適応するための措置と雇用管理の改善に努めなければならない
  • 事業主は、離職した外国人が再就職を希望するときは、再就職の援助に努めなければならない

したがって、事業主は雇用した外国人が自社に適応できるように支援し、もし離職した外国人が再就職を望む場合にはサポートする努力義務があります。

「雇用対策法」の第9条

厚生労働大臣は、前条に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するものとする。

雇用対策法」e-Gov

この条文は事業主に対して努力義務を定めた第8条に関する指針を、厚生労働大臣が指針を示す必要があると定めています。具体的には下記の3つの指針があります。

厚生労働大臣の指針とは

募集及び採用の適正化

募集事業主は、自社に応募した外国人が採用後に従事する業務内容や賃金、労働時間、就業の場所、労働契約の期間、労働・社会保険関係法令の適用に関する事項について、その内容を明らかにした書面の交付又は当該外国人が希望する場合における電子メールのいずれかの方法により明示すること。特に外国人が国外に居住している場合にあっては、来日後に、募集条件に係る認識の違いから労使間のトラブル等が生じることのないように事業主による渡航費用の負担、住居の確保等の募集条件の詳細について、あらかじめ明確にするよう努めること。
採用 事業主は、外国人労働者を採用するに当たっては、採用後に従事すべき業務について、在留資格上、従事することが認められる者であることを確認することとし、従事することが認められない者については、採用してはならないこと。事業主は、外国人労働者について、在留資格の範囲内で、その有する能力を有効に発揮できるよう、公平な採用選考に努めること。
また、新規学卒者等を採用する際、留学生であることを理由として、その対象から除外することのないようにする

【募集】の項では外国人を募集する際には、業務内容や労働契約の期間などの労働条件を明示することが求められています。また表には載せていませんが、海外から雇用する場合は事業主が住居の確保や渡航費の負担をすることなど明確にして伝える必要があります。

【採用】の項では、在留資格が自社の業務内容に合致していると認められることを確認し、合致しない場合は採用してはならないと定められています。国籍に関わらず公平な選考をすることを求めています。

下記参照元のページにて、今回の記事内容の原文がありますので、外国人雇用の際は目を通すことをおすすめします。
参照元:「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」厚生労働省

適正な労働条件の確保

均等待遇

事業主は、労働者の国籍を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならないことを求めています。

労働条件の明示

・書面の交付

事業主は、外国人労働者との労働契約の締結に際し、賃金、労働時間等主要な労働条件について、当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付することを求めています。

・賃金に関する説明

事業主は、賃金について明示する際には、賃金の決定、計算及び支払の方法等はもとより、これに関連する事項として税金、労働・社会保険料、労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱いについても外国人労働者が理解できるよう説明し、当該外国人労働者に実際に支給する額が明らかとなるよう努めることを求めています。

適正な労働時間の管理等

事業主は、法定労働時間の遵守、週休日の確保をはじめ適正な労働時間管理を行うこと。

労働基準法等関係法令の周知

関係法令の定めるところによりその内容について周知を行うこと。その際には、分かりやすい説明書を用いる等外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努めることを求めています。

労働者名簿等の調製

事業主は、労働基準法の定めるところにより労働者名簿及び賃金台帳を調製すること。その際には、外国人労働者について、家族の住所その他の緊急時における連絡先を把握しておくよう努めることを求めています。

金品の返還等

事業主は、外国人労働者の旅券等を保管しないようにすること。また、外国人労働者が退職する際には、労働基準法の定めるところにより当該外国人労働者の権利に属する金品を返還すること。また、返還の請求から七日以内に外国人労働者が出国する場合には、出国前に返還することを求めています。

解雇の予防及び再就職の援助

事業主は、事業規模の縮小等を行おうとするときは、外国人労働者に対して安易な解雇等を行わないようにするとともに、やむを得ず解雇等を行う場合は、その対象となる外国人労働者で再就職を希望する者に対して、関連企業等へのあっせん、教育訓練等の実施・受講あっせん、求人情報の提供等当該外国人労働者の在留資格に応じた再就職が可能となるよう、必要な援助を行うように努めること。その際、公共職業安定所と密接に連携するとともに、公共職業安定所の行う再就職援助に係る助言・指導を踏まえ、適切に対応することを求めています。

実際に実務担当者が留意すべきことは

募集内容と就業条件に差異ないようにする

日本人を雇用する場合でも、求人内容と就業条件が異なる場合や、応募者と事業主の理解に差異がある場合に労使トラブルに発展してしまう可能性があります。それ以上に外国人は海外から異国の地の日本で働き、さらに文化や言葉の違いもあるのを踏まえて、より丁寧に就業条件や住居や渡航のサポートの有無や範囲について説明をする必要があります。

在留資格を確認する

外国人を採用する際には日本に中長期に滞在する外国人が必ず所持している「在留カード」に記載されている「在留資格」の確認を必ず行う必要があります。なぜならば、これを怠り在留資格で許可されてない業務に従事させた場合は「不法就労」という違法行為になってしまい、外国人も雇用した事業主も罪に問われる可能性が高いからです。これから任せる業務がその外国人の在留資格に適しているかどうかは必ず確認しましょう。

ちなみに、アルバイトとして留学生などを雇用する場合は「在留カード」の裏面に資格外活動許可の欄があるのでそちらに記載されている「就業許可された時間」を確認しましょう。通常は週28時間の労働(その外国人が1週間のうちで働ける時間なのでWワークだとしても合計で28時間)が許可されています。

再就職の援助

解雇した外国人が転職せずに日本に滞在した場合、将来的に不法滞在や不法就労に陥る可能性があります。したがって、事業主は解雇した外国人に対して再就職のサポートをすることが求められます。具体的には、関連企業の紹介や教育訓練の実施、訓練期間の紹介などがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。外国人にも日本人と同様に労働法規が適用されますが、それ以外にも努力義務や支援といった規定が事業主に対しても定められています。加えて、外国人はいわゆる入管法で「在留資格」による就労制限も設けられています。色々と条件はありますが、外国人雇用はそれを上回るメリットがあることも事実です。人手不足はもちろんのこと、グローバル化が進み日本国内だけの市場では生き残れない企業も出てくるでしょう。実際に外国人雇用をするか検討する以前に、こういった専門知識の収集をしておくことは将来の備えになるのではないでしょうか。

外国人雇用に関して必要な知識として下記も併せてご覧ください。
別記事:【知らないと危険?】外国人の雇用状況届出書

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