この記事では、特定技能「製造業」の3分野である、「素形材産業分野」「産業機械製造業分野」「電気・電子情報関連産業分野」について解説します。
2019年4月に人手不足解消を目的に新設された「特定技能」の就労ビザ(在留資格)ですが、認められている14分野の中には「製造業」もあります。製造業は、「製造業3分野」とまとめられています。運用開始から1年が経過しますが、まだ周知が不十分ともいわれております。そこでこの記事では、特定技能の【製造業】概要をお伝えします。
製造業の現状は?
経済産業省によれば製造業における人材不足は、 3万人(2017、推計値)とされており、 5年後には6.2万人の人手不足が見込まれています。関連職種の有効求人倍率は2.83倍(鋳造、鍛造、金属プレス等)と、厳しい人手不足の現状を抱える中、地域毎の人手不足状況が異なることも課題として挙げられています。
そもそも特定技能とは?
特定技能とは、人手不足と認められた14分野の単純労働を含む業種で働き日本に滞在することを外国人人材に許可する就労ビザ(在留資格)です。特定技能には1号と2号があり、それぞれ取得要件や滞在期間なども異なります。また特定技能は特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。特定技能の就労ビザ(在留資格)の取得要件は、主に下記の2つです。
- 日本語能力試験に合格していること(規定あり)
- 技能評価試験に合格していること(規定あり)
詳しくは以下の記事をご覧ください。
別記事:「今さら聞けない・・・制度の基本と実情「特定技能」制度」
特定技能の製造業3分野とは?
特定技能における製造3分野は、以下の3分野とされています。
- 素形材産業分野
- 産業機械製造業分野
- 電気・電子情報関連産業分野
この3分野は製造現場で業務に従事する際、共通点が多いことから「特定技能1号」の就労ビザ(在留資格)取得要件の1つである「技能評価試験」が統一されています。その技能評価試験は「製造分野特定技能1号評価試験」と呼称されます。
製造分野特定技能1号評価試験とは?
製造3分野の技能評価試験は、「製造分野特定技能1号評価試験」としてまとめられています。試験の内容は19の試験区分に分かれています。
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- めっき
- アルミニウム陽極酸化処理
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組み立て
- 電気機器組み立て
- プリント配線板製造
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
上記技能試験及び 日本語試験において
①国際交流 基金日本語 基礎テストもしくは ②日本語能力試験(N4 以上) を取得することが条件
※技能実習2号を良好に修了した者については、必要な技能と日本語能力の各水準を満たしているものとして、技能試験及び日本語能力試験が免除となります。
【試験概要】
今後の試験スケジュールについて
経済産業省: 特定技能外国人材制度(製造3分野) にて掲載。
特定技能のいま
特定技能の在留資格を有し就労している外国人労働者は、2019年12月末時点でわずか1,621人にとどまっており、当初想定の最小で3万人という数字を下回ていいます。原因としては二国間の協力覚書の遅れが特定技能評価試験のスケジュールに影響したことや、業界によって試験体制の準備に遅れが生じていることです。
試験合格による特定技能外国人となったのは、100名弱で、多くは技能実習からの移行によるものだということが分かっています。
なお、製造業3分野において、特定技能の在留資格を取得した外国人は、100%が技能実習ルートからの移行で、試験合格による特定技能資格取得者はいないのが現状です。
参考資料文献
経済産業省:製造業における 特定技能外国人材の受入れについて(2020年2月)
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「特定技能」の中で「製造業」分野に関する概要や、要件をお伝えしました。自社で特定技能外国人の雇用を検討している場合は、「支援計画」の策定実施や特定技能ビザ(在留資格)申請に必要な書類、また特定技能外国人を雇用する企業をサポートする「登録支援機関」の存在など、多くの知識が必要になります。よろしければ以下の記事をお役立てください。
別記事:「今さら聞けない・・・制度の基本と実情「特定技能」制度」
別記事:「登録支援機関の役割とは?」
別記事:「特定技能1号に必須!具体的な支援内容とは?」