日本政府の方針として外国人労働者の受け入れが本格的に始まっております。平成30年10月末の調査では1,460,463人の外国人労働者が国内で働いていると報告されています。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)(平成31年1月25日) 厚生労働省
s://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03337.html
今回は外国人雇用の際に年金に加入させる必要がある理由と対応についてお伝えします。
1.そもそも年金制度とは
年金制度とは日本では国民皆年金というもので、日本に在住する20歳以上60歳未満のすべての国民が加入しなければならないものと義務付けられています。
自営業の場合は国民年金に加入し、公務員や会社員は国民年金に加えて厚生年金にも加入しなければなりません。
2.外国人は年金に加入させる必要がある
それでは外国人はどうでしょうか。日本に在住する20歳以上60歳未満のすべての国民が加入しなければならないものと義務付けられていますので、国籍関係なく日本に在住していれば加入する義務があります。
法律で定められた厚生年金に加入しなければならない対象である事業主を「強制適用事業所」と呼びます。ここで働く外国人はもちろん厚生年金に加入しなければならないですし、それ以外の外国人は国民年金に加入する義務があります。
3.社会保障協定について
外国人にも母国があります。母国でも年金制度のようなものがある場合、日本と母国で二重払いとなってしまい負担が大きくなる可能性があります。その場合、例外としてどちらか一方の制度に加入すればよいという場合があります。
しかし、それは日本とその外国人の母国が「社会保障協定」を締結している場合のみです。
目安として日本で雇用される期間が5年以内の場合は母国の制度、それよりも長い場合は日本の制度に加入する事になっています。また、母国が社会保障協定の締結国の場合、日本の年金に支払った期間も母国の支払い期間に加算されます。
国によって受給する為の支払い期間が異なるので、雇用する外国人と相談のうえで手続きをする事が最善かもしれません。
4. 脱退一時金について
外国人も条件に当てはまれば原則として年金に加入し支払う義務があります。とはいえ、受給できる年齢になる前に帰国する外国人もいます。
外国人が年金を受け取らずに帰国してから2年以内に請求する事で、「年金脱退一時金」を受け取る事ができます。誰でも受け取れるわけではなく、条件があります。
しかし、「年金脱退一時金」を受け取った場合は、申請する際の基礎となった「年金加入期間」が消失します。将来的に年金を日本で受給する、または母国が「社会保障協定」の締結国で、国内の年金加入期間に上乗せしたい場合は受け取らない方がよい場合もあります。
5.まとめ
日本の福祉制度や税金が外国人にどこまで適用されるのかは、雇用する側として知っておくべき知識ではないでしょうか。今後、変わる可能性もありますので年金に関しては「日本年金機構」のウェブサイトなどで確認する事も大切です。