外国人は日本に滞在する間は在留資格ごとに様々な制限や更新の手続きなどがあります。しかし、永住権には在留期限はありません。そういう意味では、外国人にとって永住権はとても魅力的なものです。
永住権は取得するにも条件があり、苦労するケースもあるでしょう。そこまでして取得した永住権を取り消される場合があることはご存知でしょうか。一度、取れば終わりというものでもないのです。
今回は永住権が取り消される事由についてお伝えします。
そもそも永住権とは?
永住権とは日本に滞在する外国人が、期間の定めがなく日本で生活できる在留資格のことです。永住権の在留資格は「永住者」「特別永住者」「日本人の配偶者等」法務省がウェブ上で公開している統計によると2018年度で803,263人の外国人が「永住者」の在留資格で日本で暮らしています。(特別永住者や配偶者などを除く)参照元: 「出入国管理統計表」法務省
詳しくは別記事:日本で永住権を取得する為には?をご覧ください。
永住権が取り消される事由とは?
結論からお伝えすると、虚偽の申請内容を提出したと認められる場合や犯罪を犯した場合、再入国の許可を受けずに長期間海外に滞在した場合などがあります。具体的な取り消し事項として下記の5つがあります。
申請内容に虚偽がある場合
永住権は外国人にとって重要なものであると同時に、日本という国にとっても誰にでも簡単に認められるものではありません。したがって、永住権に係る審査は厳しいものとなります。
例えば再入国許可申請の際、虚偽の申告や記載をする、あるいは偽造の書類を提出するなどした場合は、取り消しになる可能性があります。または永住権の申請時に虚偽の報告や書類提出をしていたと後から発覚した場合でも取り消しの可能性は高いです。
再入国許可を受けていない場合
永住権を持つ在留資格があれば、出国しても1年以内であれば基本的に再入国許可が必要ないです。何故なら「再入国許可(みなし再入国許可)」という制度があるからです。
しかし、その期間を越えてから再入国する場合には事前に再入国許可を申請して取得しておく必要があります。もしこの手続きをしなかった場合は永住権を失う可能性があります。
ちなみに再入国許可を事前に行えば出国後5年間は永住権を失う心配はありません。※別の事由で取り消しに値する行動をすれば失う可能性はあります。
居住地登録をしていない場合
居住地登録とは「住民登録」のことです。日本人も、引っ越しの際には住民登録が必要です。外国人の場合は、3ヶ月以上日本に滞在する場合、他の在留資格で滞在している外国人であっても、入国後14日以内に住む地域の市役所などで住民登録をする必要があります。これは永住権を取得している外国人でも同じことです。
しかし、90日を超えて転出届や転入届を提出しなかった、または居住地に関して虚偽の届出をした場合は、永住権が取り消される可能性があります。
懲役や禁錮などに処せられた場合
刑法に定められている一定の刑に日本で永住権を取得して生活している外国人が処された場合には、永住権の取り消しをする可能性があります。そもそも、永住権の取得の為には「素行が善良」な必要があるので、仕方ないかもしれません。
正確には「強制送還」される可能性があり、それによって日本を出国するので結果的に永住権が取り消されることになります。
在留カードの更新手続きの申請をしなかった場合
在留期限に制限がない「永住者」ですが、在留カードには有効期限が定められています。したがって、在留カードは期限が切れる前に更新しなければなりません。
永住者の在留カードの期限は下記の通りです。
対象者 | 期限 |
16歳以上の永住者 | 交付の日から7年間 |
16歳未満の永住者 | 16歳の誕生日まで |
上記の日程までに更新の手続きが必要です。
参照元: 「新しい在留管理制度がスタート!」法務省入国管理局
永住者を取得する以前であれば、基本的に「在留期限」の更新期限の方が在留カードの有効期限より早く来るので同時に更新をすることになります。この項目は失念しやすいので注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今後日本で暮らす外国人が増えれば「永住権」の取得率も増加することが見込まれます。実際のところ、20年前と比較して約200,000人も増えています。
雇用する企業としても自社の外国人が長期的に日本で働いてくれることは、大きなメリットであるはずです。そういった意味でも、担当者がこういった外国人に係る制度上の知識を蓄積することは非常に有益ではないでしょうか。