昨今、 様々な企業で行われるようになった“働き方改革”。 新型コロナウイルスの影響で、より一層企業に働き方の変革が求められるようになってきました。これからの働き方改革の在り方を、他社の働き方改革から学ぶことが、 現代の波に乗るうえでの重要な取り組みの1つになるのではないでしょうか 。
そこで今回は、メガバンク「みずほ銀行」をはじめとする、みずほフィナンシャルグループについてご紹介します。みずほFCでは、 社員が「働きやすさ」を感じながら長く会社で活躍し、会社への貢献意欲や仕事のモチベーションを高めていくことのできる職場を実現するべく、様々なワーク・ライフ・バランスの制度を取り入れています。
最近では 銀行系の会社でいち早く“最大週休4日”制度を行うことが決定し、メディアやSNSで大きく話題になっています。「常識や概念に捉われない企業の働き方改革」の事例として、みずほフィナンシャルグループの働き方改革事例とその特徴について徹底解説します。
みずほの働き方改革の概要
みずほFGは 「日本を代表する、グローバルで開かれた総合金融グループ」 として、国内において私たちの日常を支えてきました。 21世紀の日本の金融業をリードする金融機関になるべく 、3つの銀行の合併により誕生。その後日本のメガバンクとして、今なお地位を築いています。
みずほFGは、会社のビジョンを 『日本、そして、アジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、グローバルで開かれた総合金融グループ』 としています。
みずほFGが働き方改革を始めたのは2016年。会社で働く多様な人材の成長と活躍を実現すべく、『ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント(D&I)』という声明を発表しました。この中で働き方改革実現に向けた主要政策が決められ、その後みずほFGの働き方は大きく変化していきました。
ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント(D&I)
それでは次に、みずほFGの働き方改革のポイントをそれぞれ解説していきます。
ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント(D&I)とはそもそも、従業員一人ひとりの多様性を受け入れ、組織の一体感を醸成することによって成長や変化を推進する取り組みのことを指します。
みずほFGでは、国籍・性別・文化などの異なる社員が、互いに認め合い、高め合うことを重視するいわゆる“ダイバーシティ(多様性)”の推進に長年取り組んでいました。しかし、その取り組みの実現が半ばであることを受け、 様々な環境変化への対応力を高め、将来にわたって自らを変革し、持続的に成長を遂げていくためにはダイバーシティのステージを更に進化させ、 多様な人材を受け入れるべきだと考えこの声明が発表されました。
実はこの ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント(D&I)、第一生命や三井住友海上などの大手企業でも方針として取り入れられています。これからの多様化社会においての重要な考え方の1つになるかもしれません。
それでは次に、みずほFGの働き方改革のポイントをそれぞれ解説していきます。
・社内の労働時間削減
・希望に合わせた育児休暇支援
・仕事と介護の両立支援
・新制度“最大週休4日”
社内の労働時間削減
みずほFGでは、効率的で生産性の高い働き方の実践のために、フレックスタイムや時差勤務に加え、育児や介護に合わせた時間短縮勤務も行っています。さらには社員の家庭環境や状況に応じた勤務が可能となる制度が整えられています。
また、過重労働や不用意な残業を減らすため、みずほFGでは労働時間を短縮できるような取り組みも行い、効率的に業務を行えるような環境を実現しています。
・全社一斉の定時退社日設定
全社一斉の定時退社日(リフレッシュサマー、リフレッシュウィンター、家族の日)が設定されています。そのほか、本社ビルの定時一斉消灯、勤務間インターバル制度の導入、朝型勤務の奨励等も実施することで、メリハリのついた業務運営を推進しています。
・休暇取得推進の取り組み
みずほFGでは、社員の休暇制度も充実させています。計画的な連続休暇や育児及び介護に柔軟に対応した休暇取得が整っているほか、最大32回まで利用できる半日単位の有給休暇や、「配偶者出産休暇」「リフレッシュ休暇」「自己啓発休暇」「ボランティア休暇」など、多様な休暇制度が整備されています。
希望に合わせた育児休暇支援
男性への育休支援
みずほFGは、「男性の育児休業取得率100%」という目標を掲げ、男性に向けた育児の面においても様々な取り組みを行っています。
育児休業のうち5営業日を有給化したほか、子どもが生まれた男性社員への「子育てハンドブック」の配付や、管理職から男性社員へお祝いレターを手交、取得の声掛けをする仕組みなどを導入しています。
そして2019年7月には、ワーク・ライフバランス者が主催した「男性の育休取得100%宣言」に、みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、みずほ情報総研の社長が参加しています。
育休からの復帰支援
育休のほかにも、みずほFGでは、育休から復職する社員に向けた取り組みも行っています。
・ 事業所内保育所「みずほキッズがじゅまる」
内幸町本部ビル には 「みずほキッズがじゅまる」 という事業所内保育所を設置しています。保育園不足が原因で復職できない社員に向けた取り組みです。
・プレママセミナー
妊娠中の社員がキャリアと育児の両立できるように、復職後のキャリア形成への意識啓発や、両立のためのノウハウ伝授を行う、休業前研修「プレママセミナー」も行われています。
・両立支援セミナー
育児休業中の社員や、職場復帰をして仕事と育児の両立中の社員、その管理職などに対しては、「両立支援セミナー」を開催。子どもの成長とともに変化する働き方の紹介や、中長期的なキャリア形成に向けた外部有識者による講演、社内ロールモデルによる講和などを実施し、女性の仕事と育児の両立とキャリア形成に対する意識啓発を行っています。
子供の育成支援
みずほFGでは、毎年7月から8月に社員の子どもたちを対象とした「子ども参観日」を実施しています。
社員の子供たちが父母の職場を訪問し、仕事の体験をすることができます。父母の仕事内容を子供たちにより理解してもらう機会としてつくられています。子供参観日当日は、父母社員が定時退社や半日休暇を利用して、自分の子供と共に帰宅し家族と過ごす時間を創出する機会にもなっているとのことです。
仕事と介護の両立支援
みずほFGでは、育児のほかにも、仕事と介護を両立する社員を支援するために、法定の要件を上回る介護休業や介護にかかる短時間勤務・時差出勤などの各種制度や、精神面でのケアのための各種セミナーなどを実施しています。その中でも特に重視されているのが、社員のメンタルケアです。
仕事と介護の両立支援セミナー
急に介護が必要になった社員のために、その介護の基礎知識を学ぶことができるセミナーです。このほか、社内ロールモデルとの座談会等を実施することで社員の介護に対する負担をできるだけ減らす取り組みが行われています。
介護コンシェルジュデスク
社員が介護に関する不安や悩みを電話及びメールで気軽に相談できる相談窓口が設置されています。みずほFGの社員ではなく、外部専門家による相談窓口になっています。
新制度“最大週休4日制”
今年の10月、みずほFGは、10月6日までに、社内で希望する正社員に対し、最大週休4日の働き方を認める方針を固めました。銀行といえば週休2日という概念を打ち破った方針に、多くのメディアが注目しました。
対象になるのはグループ傘下の銀行や信託銀行、証券などの6社に勤務する正社員約4万5000人。基本給については、週休3日の場合は従来の8割程度、週休4日の場合は同6割程度になるそうです。今年の12月から早くも導入を目指すとのことです。
コロナをきっかけに、ほかにもテレワークや時差出勤の拡充などの働き方の見直しも随時進めているということで、金融機関の働き方改革の更なる推進に拍車をかける出来事となりそうです。
まとめ
今回は、みずほフィナンシャルグループの働き方改革をご紹介、解説しました。みずほFGが今後導入する週休3、4日制度は、これからの銀行のありかたが大きく変化するきっかけの1つになりそうです。
新型コロナウイルスの影響下で、現在多くの企業が自社の働き方を見直す必要性を感じているのではないでしょうか。みずほFGの他にも、働き方改革を行っている企業はいくつもあります。自社に合った働き方改革を様々な企業の働き方改革を参考にしながら導入してはいかがでしょうか。
次世代採用ナビではこれまでもさまざまな企業の働き方改革についてご紹介してきました。以下も併せてご参照頂ければ幸いです。