≪永久保存版≫外国人雇用‐労使間トラブルの全容と対策|【5分で分かる基礎知識】

≪永久保存版≫外国人雇用‐労使間トラブルの全容と対策|【5分で分かる基礎知識】

外国人採用が注目される一方で、技能実習の失踪など、何かと世間を騒がしている諸問題について、整理します。これらの労使間トラブルについては、その原因を明確に切り分ける必要があります。

また以下のトラブル事例については、外国人雇用をする雇用者側が気を付けることで対策が取れることが多いです。

よくある労使間トラブル事例と対策

事例 気にかけるべきこと(対策)
ホームシック ・母国の家族との連絡手段、頻度を聞く
・近くのベトナム人コミュニティへの参加を促す
労働環境(不当賃金、残業代未払い) ・給与、待遇の明確化、具体的な説明
人間関係(ハラスメント) ・定期個別面談による社内人間関係のヒアリング
・外国人母国語相談窓口の案内
金銭トラブル ・本人の生活、行動について常識の範囲で把握する
悪徳業者経由の計画的失踪 ・当人入国前に対面による面接を実施
・仲介役(送り出し機関)の信用度を調査
入国後、甘い誘いによる失踪
(短期高収入の違法バイト)
・希望給与、入国後目標(貯金額)について知る
・本人の生活、行動について常識の範囲で把握する

社内環境や商習慣に適用できない?

外国人採用の現場においては、雇用者側の価値観や偏見によって、もたらされる労使間トラブルがあることを知っておく必要があります。これは雇用者、外国人スタッフ一人一人の個性が関わることであり、共通した解決策はありません。

外国人人材に対する、間違った日本人雇用者の「姿勢」「偏見」には次のようなことが挙げられます。

  • 外国人雇用とは「発展途上国」からきた「出稼ぎ労働者」を採用すること
  • 外国人人材は日本において、全ての文化、習慣、規律を順守すべき
  • 外国人人材は日本人より能力が劣るため、多少の賃金カットは許容範囲
  • 外国人雇用のトラブルは管理者(仲介)が責任を取るので、何をしても良い
  • 外国人人材は日本人と結婚すれば、永住できるので交際を求めた。
  • 外国人人材にハラスメントをしても、この日本語力では通告されまい

文字にするだけでも、悲しい気持ちになることですが、これらは、今も日本で働く外国人人材を雇用する雇用者が持っている可能性がある偏見・思想です。

これら外国人雇用の問題の本質は、以下に分類して分析ができます。

文化理解の不足

心ない一言で相手を傷つけてしまうことがあるのは、外国人人材に対しても同じことです。いまだ「出稼ぎ」という言い方をする人も多いようですが、こうした表現は外国人人材が知り得る「差別用語」として認識されています。

どんなに親しい存在になろうとも、お金を稼ぎに発展途上国から来た、という考えは脱ぎ捨て、1人の社会人、従業員として尊重する視点を大切にしてください。平等な態度を取れない雇用者に対しては、100%の仕事で応えることはできません。

日本に来たら日本のルールに全部従え、という気持ちを持つ方も多いのですが、頭ごなしにルールで縛り付けるよりも、相手の文化・習慣に寄り添い指導することが良好な関係性構築には重要です。

「日本では当たり前だから従って」ではなく、「なぜ、こうすることが日本で習慣とされているのか」という点を補足説明することで、外国人人材にとって「縛り付け」に感じない指導を実現することが出来ます。効果的な指導方法については別記事で紹介します。

制度理解の不足

監理団体や人材エージェントから言われるままに外国人人材を採用し、その責任は全て当該組織にある、と考える企業が多く、2019年までに、多くの摘発が技能実習制度を中心に行われてきました。

メディアで報道される当該企業、組織の担当者はとても外国人人材を人として扱っている様子はなく、彼らは一生の傷を心に負い、その後の人生に影響を及ぼしていることに心を痛めます。

外国人受け入れにおいては、労働法のみならず、入管法などあらゆる法律が関わり、そのルールは日本のみならず、諸外国毎によって異なります。こうしたことは外国人採用をしたのちに「知らない」では済まされず、企業にとってのリスクになり得る危機感を持つべきです。知らない間に悪徳業者によって犯罪に巻き込まれることもあります。

人権保護の認識不足

外国人雇用においては、極度に「主従関係」を感じやすい雇用者が多いようです。これはつまり、自分よりも仕事、言語、社会人スキルが少ない外国人人材に対して「家来」のような感覚に陥ることがあるという点です。

これは雇用者のみの問題ではなく、東南アジア諸国の送り出し機関においては、行き過ぎた日本文化教育が蔓延る現状があり、送り出し機関へ視察、面接に訪れた企業担当者を一列で迎え入れ、盛大な歓迎をするところがあり、こうした「絶対服従」の精神を誤って外国人人材に刷り込み教育することが、両者の「主従関係」を強くしてしまうことがあるのです。

決して外国人人材と接する際に、子ども扱いをしてはなりませんし、一社会人として対等に接することを忘れないでください。今もし、その関係が上手くいっているとしても、しばらくして外国人社員自身が反動によって、憤慨、反発をしてしまえば、取り返しのつかないことになります。

まとめ

筆者はベトナム現地にて、前述の雇用者による「勘違い」を目の当たりにしてきて、悲しい結果を迎えた労使間トラブルを様々見てきました。これから外国人採用を検討される方も、すでにしていて、こうしたトラブルを抱えている方は、自ら率先してアクションを起こしてください。

また、中間管理職の立場にあり、経営者の独裁的かつ非人道的な、外国人社員への接し方を目の当たりにしている方においては、関連する組織団体(信頼できるところ)、技能実習機構のホームページを確認し、しかるべき対応を取るようにしてください。

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