外務省のビザ査証発給統計によると2018年(平成30年度)の就労ビザ発給総数は、245,244件です。1年間でこれだけの外国人が日本に働くためにビザ申請をしています。厚生労働省の発表によると2018年10月末時点で外国人労働者は約146万人いるとされています。
外国人を雇用する企業が増える一方で、外国人が離職することもあるでしょう。自社の外国人の離職率が下がることはあるのでしょうか。今回は外国人の離職とビザ申請における審査の関係についてお伝えします。
そもそも誰が審査をするのか
一般的にいわれている就労ビザ(在留資格)を審査するのは、地方出入国在留管理局(旧地方入国管理局)です。具体的な審査基準として下記のようなものがあります。
- ビザ(在留資格)に該当する業務内容か
- 外国人人材の専門性と業務内容が合致しているか
- 会社の事業規模として外国人人材を継続雇用できるか
外国人の離職はビザ審査に影響はあるか?
自社で雇用した外国人の離職率が高い場合、離職率や離職の総数が直接、自社で雇用している外国人や新たに採用した外国人の「在留資格の審査」に影響を与えることはないです。ただし、離職率が高いということは結果的に審査が通りにくい可能性を上げるかもしれません。
離職の原因が審査に影響を与える
そもそも予算を投下して雇用した人材が離職する状況は自社にとって深刻な問題です。外国人従業員の離職率が高いということは、外国人にとって働きにくい環境の可能性があります。そのような環境自体が審査に影響を与える可能性があります。
業務内容を見直す
在留資格に該当する業務内容か
地方出入国在留管理局は「ビザ(在留資格)に該当する業務内容か」を基準としています。例えば、外国人は日本で働く際、与えられた在留資格に定められた活動の範囲で就職し業務に従事することができます。しかし、定められた活動以外の業務や単純労働などに従事してしまうと「不法就労」となり違法行為にあたります。また「不法就労」をさせた事業主も「不法就労助長罪」として罰せられます。上記のようなケースでは審査以前の問題ですが、雇用した外国人の離職率が高い場合は業務内容を見直すことも大切です。
専門性を活かせる業務内容か
地方出入国在留管理局は「外国人人材の専門性と業務内容が合致しているか」も審査基準としています。例えば、電子工学の学士号を持ち「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得している外国人が「翻訳会社」に応募する場合は、許可が下りない可能性もあります。「翻訳会社」であれば、同じ在留資格であっても言語系の学士号や経験を持つ外国人が適していると判断されるでしょう。
事業規模を見直す
「会社の事業規模として外国人人材を継続雇用できるか」も審査基準になります。自社の事業規模で継続的に外国人を雇用し続けることが可能かどうかが問われます。
不許可になってしまった場合
不許可になってしまっても、それで終わりというわけではありません。不許可の理由を冷静に尋ねることで解決策を見いだせるかもしれません。理由に対して、改善できる点があり解消できる可能性があれば、再申請をすれば許可が下りる可能性があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は外国人の離職とビザ申請における審査の関係についてお伝えしました。結論として自社の外国人人材がどれだけ離職したかは審査基準にはなりませんが、その原因を辿ると審査に響く可能性があります。採用の際には在留資格を確認してミスマッチを防ぎましょう。