日本は少子高齢化の影響もあり労働人口が減少傾向にあります。人手不足とされる業界も増えてきました。特に接客業である飲食業やホテル業界は顕著です。そしてIT業界で必要なエンジニアも不足しているといわれています。
IT企業は日本国内のみでなく、海外に受託開発を発注する、海外のエンジニアを雇用するなどして対策を講じています。一方、自社で求人を出して雇用することが厳しい企業は派遣会社を利用して日本人のみならず外国籍のエンジニアも受け入れています。
今回は2020年2月現在、日本で一番多いと言われているベトナム人の中でもITエンジニアとして派遣で受け入れる際に知っておきたい情報をまとめました。
そもそも派遣契約とは?
派遣契約は、派遣元である派遣会社と派遣先である企業が「派遣基本契約」を結んだうえで、人材の派遣をする際に人材毎の条件などを「個別契約書」で契約します。派遣労働者には「労働条件通知書」を派遣元から最新のものを毎月送る必要があります。
ベトナム人に関わらず永住権や配偶者ビザのない外国籍の人材を雇う時は、就労ビザが必要になります。就労ビザは単純労働が認められておらず、基本的には正社員の雇用が必要です。
したがって、派遣元が外国籍人材を正社員として雇用して派遣先の企業に派遣する「特定派遣」の契約が用いられることが多いです。
給料の支払いなど雇用は派遣元が行い、指揮命令権は派遣先企業にあります。
派遣会社の支援体制を確認する
外国籍人材を受け入れるとき、特にITエンジニアに関しては日本語能力や技術力が高いレベルで求められます。しかし、派遣会社によってはスキルチェックを怠る、事前の日本語教育もなしに提案してくるケースもあります。
派遣先の企業としても条件にあったスキルでなければ活用が難しく、そういった会社から派遣される外国籍エンジニアも不幸な環境になってしまいます。
そういった事態を防ぐためにも、下記の点を顔合わせ(面談)等で確認する必要があります。※派遣先による派遣労働者の面接は禁止されていますが「顔合わせ」は可能です。
- 業務で扱う日本語を理解できるか
- プログラミング言語の知識や経験が自社の開発に活かせそうか
派遣会社は、スキルシートをもとに営業することもありますが、できれば実際に確認する手段を相談して実施してもらうことが大切です。
また派遣元が自社の派遣社員に対して教育をしているかも重要です。2015年の派遣法改正によって、入社後の3年間は年間8時間以上の教育訓練を施すことが義務化されています。
就労ビザの取得や更新に対するノウハウなどが整っているかも大切な要素です。 途中離脱のないように派遣労働者が不備なく働ける環境を派遣元が用意しているかを確認することで、長期的な活躍が見込めます。
ベトナム人エンジニアの特徴
ITで有名なアジアの国といえばインドがあります。しかし、ベトナムもIT産業は年々拡大して売り上げも伸びています。日本のIT業界とのつながりは特にオフショア開発が盛んです。日本との開発規模は年間20~40%の上昇で推移しています。
ベトナムが国としてIT業界に力をいれていることもあり、毎年5万人近い卒業生を輩出しています。
一方で、ベトナム人が日本でITエンジニアとして働く場合は言葉の壁が大きく存在します。日本語の仕様書を読めない、日本語でビジネスコミュニケーションが上手く図れないなど各個人の日本語能力レベルによってかなり差があります。
比較的、真面目で勤勉な性格が多いのも特徴です。また親日的な方も多く、日本文化に馴染みやすい印象があります。
発展著しいベトナム進出の架け橋としても、ベトナム人ITエンジニアは貴重な存在かもしれません。
どのような人材を派遣してもらうか明確にしておく
派遣を受け入れる際に、ます大切なことはどこに滞在している人材を呼ぶかです。日本国内ですでに働いている、あるいは、待機状態であれば就労ビザは取得済みのはずなので、手続きや時間もかからずに就業開始ができます。
しかし、海外から呼び寄せる場合は就労ビザの取得や住居の準備など様々な手続きと長い時間がかかります。現場で働くまでに早くて2か月程度見ておく必要があり、余裕を見て3ヶ月程度を想定しておくのがよいでしょう。
また日本語をどこまで理解し使える人材が必要かどうかです。ベトナムでは少し前に日本文化が流行したこともあり、日本語学校や日本語学科などもできました。また日本とのオフショア開発やベトナム内の日本企業で働いた経験があるなど、技術者でも日本語能力試験を受験しN4~N2を持っていることもあります。
※N1に近づくほど難易度が高い。
また単純な労働力としてみるのではなく、会社の雰囲気に合うかどうかや理念に共感してくれる人材を雇うべきです。それは国籍や雇用形態に関係なく、長期的に活躍してくれる為に必要です。
一概には言えませんが、日本の他の企業で長期的に働いた経験がある、またはベトナムで日本企業と直接やりとりをして開発をしていたエンジニアであれば、比較的すぐに活躍が見込めるかもしれません。
まとめ
技術者派遣は即戦力として期待されます。しかし、海外から呼ぶ場合は特に環境の変化や文化的な差異などによる影響を理解するべきでしょう。そういった意味でも、しっかりと教育やスキルチェックをしている派遣会社を選ぶことが、派遣労働者としても自社にもいい結果を与えることになるでしょう。
また派遣ではなく直接採用するという手段も検討するべきです。現在はインターネット上で手軽に海外にいる人材ともやり取りできるようになりました。中には無料で利用できるものもありますので活用しましょう。