≪ゼロから学ぶ≫登録支援機関を1から徹底解説!|【外国人雇用の基礎知識】

≪ゼロから学ぶ≫登録支援機関を1から徹底解説!|【外国人雇用の基礎知識】

はじめに

2019年4月から始まった「特定技能」の「1号特定技能」の在留資格を得て日本で働いている外国人(1号特定技能外国人)は1,621人と調査報告(2019年12月末発表出入国管理庁)されています。人手不足と認められる14分野で新たに新設された「在留資格」です。

在留資格は外国人が日本で中長期的に滞在・活動する為に必要な資格です。この資格を付与されていない外国人は「不法滞在」となってしまいます。それまで人手不足の分野を補っていたのは「技能実習」の在留資格で滞在している「技能実習生」と呼ばれる外国人労働者でした。しかし、技能実習制度は日本の技術を海外に移転することで国際貢献をする事が目的であり、労働力の確保のための制度ではありません。

ただ、現状としては外国人は日本でお金を稼ぐために技能実習生として日本で働き、受け入れる企業や団体も労働力として期待する側面があります。技能実習制度が本来の目的と異なる運営をされてしまっていることから、特定技能という在 留資格が生まれたと言われています。

しかし、現状は依然として技能実習の取得数が特定技能を上回っています。とはいっても、まだ開始されて間もない制度であり今後は普及することが見込まれます。このように、日本では外国人人材の受け入れが増加しています。とはいえ、受け入れる企業に対して支援や説明が十分かというと不十分なところがあるのではないかといわれています。

そこで「特定技能」に限り、外国人雇用のノウハウがある組織や団体が受け入れる企業を支援できる制度を国が整備しました。それが「登録支援機関」です。

登録支援機関とは?

2019年の4月より「特定技能1号」と「特定技能2号」の在留資格が新設され今まで単純労働として就労が許可されていなかった14分野で働く事が可能になりました。

”真に受入れが必要と認められる人手不足の分野に着目し,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れるための新たな在留資格を創設する”

引用元:「法務省新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設について」法務省

とはいえ、以前から外国人を雇用していた企業であればともかく、その経験がない企業にとっては制度が新設されたとしても外国人採用に踏み切るにはリスクがあります。そこで設けられたのが「登録支援機関」です。下記の図は登録支援機関に係る関係図です。

登録支援機関に係る関係図

登録支援機関は受け入れ先企業(特定技能所属機関)に委託を受けて、
1 号特定技能外国人に対して支援計画に沿って日本での生活や就労をサポートする機関です。基本的に特定技能 1 号で日本に在留し働いている外国人のみを対象にして支援活動を行います。
※特定技能 1 号の在留資格で日本に滞在し、働いている外国人を「1号特定技能外国人」といいます。
※特定技能の在留資格を持つ外国人を雇用している企業のことを「特定技能所属機関」といいます。

支援計画は 1 号特定技能外国人のみを対象としているので、特定技能 2 号の在留資格を取得している 2 号特定技能外国人には実施する必要はありません。登録支援機関は「出入国在留管理庁(旧:入国管理局)」に登録を受けて活動することができます。支援計画には、入国前の事前ガイダンスで日本で生活するために必要な情報や、持参すべきもの、また入社する会社から配布されるものなど情報提供をするほか、出入国時の送迎や住居の用意なども含まれています。

特定技能とは?

「特定技能」とは2019 年 4 月より新設した外国人が日本で滞在・活動するために必要な在留資格の中の 1 つです。政府が人手不足と認めた 14 種類の業種に限り、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です」とされています。

特定技能1号取得の流れ

「1号特定技能」と「2号特定技能」の在留資格があります。
特定技能の在留資格を取得する方法は以下の2つあります。

  • 試験に合格したうえでその証明を在留資格申請の際に出入国在留管理庁に申請し許可を得る
  • 技能実習2号の在留資格で在留期限を満了して働き、技能と日本語能力を証明する書類を出入国在留管理庁に申請して許可を得る

特定技能所属機関とは

特定技能所属機関の要件①

「特定技能所属機関」とは特定技能の在留資格を取得した外国人労働力を雇用する企業などのことです。1号または2号特定技能外国人を雇用する企業は、設けられた要件を満たし、この特定技能所属機関になる必要があります。法令順守や日本人と同等の雇用条件で雇用契約を結ぶ(特定技能雇用契約)などの条件がありますが、ここでは割愛し登録支援機関と関係のある下記の条件を紹介します。

(外国人の支援登録支援機関に全部委託する場合は満たすものとする)
1.(※)以下のいずれかに該当すること
ア 過去 2 年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績がある、かつ、役職員の中から支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに 1 名以上・支援責任者および支援担当者は兼務可能)を選任していること
イ 役職員で過去 2 年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有する者の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること(兼務可・ 1 人でも良い)
ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者(上場企業など)で、役職員の中から支援責任者及び支援担当者を選任していること

2.(※)外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を確保していること

3.(※)支援状況に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から 1 年以上備え置くこと

4.(※)支援責任者又は支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと

5 年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと

6.(※)支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することのできる体制を有していること

7.(※)分野に特有の基準に適合すること

上記の要件を特定技能所属機関は満たす必要がありますが、登録支援機関に委託する場合は(※)がついている項目これらをすべて満たしたものとして扱われます。

特定技能所属機関のまとめ
①登録支援機関は特定技能所属機関に委託を受けて外国人を支援する
②特定技能の取得は、試験の合格又は技能実習2 号の修了が必要である
③特定技能所属機関は登録支援機関に委託する事で要件を一部免除される

以上の要件に加えて、特定技能外国人を雇用する特定技能所属機関は、各業界ごとに存在する協議会に加入する義務があります。

特定技能所属機関の要件②

特定技能外国人の受入から4ヶ月以内に加入する必要があります。加入費用は分野業界ごとに違うようです。今のところ建設分野のみ費用が発生するようです。月会費で 5,000、10,000 円、入会金で50,000、100,000 円かかるといわれています。

また、雇用している特定技能外国人1人につき受入負担金として12,500円の費用が発生する場合があります。登録支援機関も業界ごとに協議会への加入義務があるものと、ないものがあります。下記の6種の分野が加入する必要があるとされています。(2020年3月時点)

  • 外食業分野(農林水産省)
  • 飲食料品製造業分野(農林水産省)
  • 宿泊業分野(国土交通省)
  • 自動車整備業分野(国土交通省)
  • 航空分野(国土交通省)
  • 造船・舶用工業分野(国土交通省)

協議会への加入は各省庁のWEB サイトに協議会専用ページが用意されていますので、そちらから申請します。

登録支援機関の役割

登録支援機関は受け入れ先の企業に委託されて、1号特定技能外国人に対して支援計画を実施します。登録支援機関になるためには、基準や条件を満たした状態で出入国在留管理庁に申請し、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。登録支援機関は特定技能1 号に対して支援計画を実施するものとして定義されており、2号特定技能外国人労働者に対しては支援を行う義務はありません。何故なら1号に対して受け入れ先の企業は支援を行う必要があるので、登録支援機関も1号特定技能外国人に対して支援を行うものとされています。

支援計画とは

1号特定技能外国人を雇用する際に必ず必要なものが「支援計画」です。正確には「1号特定技能外国人支援計画」といいます。目的として「1号特定技能外国人」が良質で安定した職業生活や、日常生活、社会的生活を送り、円滑に特定技能1号の活動が行えるよう図るものです。
そのため、特定技能所属機関(受け入れ先の企業)は支援計画を策定し出入国在留管理庁に提出する義務があります。1号特定技能外国人の在留資格の申請や更新時に他書類と一緒に提出する必要があります。

支援計画は日本語で作成するだけではなく、当該外国人が十分に内容を理解できる言語でもあわせて作成し、その写しを渡す必要があります。同時にその中身について説明したうえで、理解したとして署名を得る必要があります。
「十分に内容を理解できる言語」はその外国人の母国語でなければならないという決まりはありません。しかし、内容を全て理解したと外国人が判断できる言語で作成しなければなりません。受け入れ先である企業(特定技能所属機関)が原則としてこの支援計画を実施する義務がありますが、登録支援機関に全ての支援計画の実施を委託することができます。1号特定技能外国人支援計画実施について一部のみ委託の場合は、支援計画においてその委託の範囲が明確でなければならないとされています。


また、支援計画の作成は基本的に特定技能所属機関が行う必要があります。
※作成に関して登録支援機関から助言等を得るのは問題ありません。支援計画書は法務省のウェブサイトよりダウンロード可能です。

義務的支援とは

支援計画には「義務的支援」と「任意的支援」の2種類があります。義務的支援は必ず行う必要がある支援内容で、任意的支援は必ずしも行う必要はありません。しかし、義務的支援だけでは海外から来たばかりの外国人が日本で暮らしていくには足りていない場合もあるので、基本的には必要なことは任意的支援としても実施していくべきです。

支援計画は上記の内容を盛り込む必要があります。法務省のWEB サイトでダウンロードできる「1号特定技能外国人支援計画書」にすでに義務的支援に関しては記載されているので、担当者などを記載していけば基本的には問題ありません。

  • 雇用契約の内容(賃金や福利厚生、諸条件など)
  • 日本で活動できる内容
  • 日本への入国や滞在に必要な情報
  • 当該外国人が家族や近しい者の保証人等の支払いに関する契約がない、また将来的にもする意志がないことを確認する
  • 海外の機関に費用を支払っている場合は、その内容を理解して合意しているかを確認する(支払い費用の有無や、その内訳、その機関の名称なども確認する)
  • 支援実施に関わる費用は、当該外国人には一切負担させることはないと伝える
  • 出入国の際は送迎を行うことを伝える
  • 住居に関する支援内容や賃貸契約の内容(家賃や間取り、広さなど)を伝える
  • 外国人からの日々の相談や苦情の申し出を受け付ける体制について説明する(利用方法、利用時間帯など)
  • 受入企業等の支援担当者の氏名、連絡先を伝える(電話番号、メールアドレスなど)

任意的支援とは

任意的支援は義務的支援に足りないと思われる点を補うために行うものです。例えば、事前ガイダンスの中で行う任意的支援には下記のようなものが挙げられます。

  • 日本の気候や季節ごとの服装
  • 母国から持ち込むべきもの、持ち込めるもの、持ち込めないもの
  • 入国後必要になる金額とその用途について(生活必需品など)
  • 企業から支給されるものについて

予め定められている義務的支援だけでは、日本で初めて働く外国人や、あるいは今までと違う地域で働く場合など、必要な情報はたくさんあるでしょう。そういったものを提供することが、事前ガイダンスの任意的支援に求められます。他の項目で任意的支援を検討する際も同様に、個々の状況を踏まえ、適切な支援を策定実施しましょう。

送り出し機関と登録支援機関の違い

送り出し機関とは

「送り出し機関」とは技能実習制度に関連する機関で、日本と二国間取決め(協力覚書)をしている海外現地にあります。役割としては、現地の日本で学びたい(働きたい)若者をスカウトして、日本語などの教育を施し、日本にある監理団体を通じて日本企業に紹介する(送り出す)ことです。送り出し機関は現地政府に認定を受けている必要があります。認定を受けていない送り出し機関に依頼しトラブルが発生した事例もあります。

登録支援機関と送り出し機関の違いとは

登録支援機関は日本に来日した1号特定技能外国人が良質で安定した職業生活や、日常生活、社会的生活を送り、円滑に特定技能1号の活動が行えるよう図ることを目的としています。つまり日本国内における外国人の支援を主に行います。ビザ取得支援なども行います。
一方で送り出し機関は、基本的には日本に送り出す前に研修をして、人材を日本に送り出すことを目的としています。また日本に行くためのビザ申請のサポートや日本の企業文化についての研修なども行っています。送り出し機関により日本で相談受付など技能実習生のサポートを行っている機関もあります。

※監理団体は技能実習制度が日本で適切に運営されるために、技能実習の監理・指導、正しい技能実習制度の周知、受け入れ企業の監査、出入国在留管理庁への報告を行う役割があります。技能実習生は研修という名目で日本にいます。一方で特定技能は就労ビザとして働くために滞在しています。この点からも技能実習と特定技能には大きな違いがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。登録支援機関は、特定技能に係る各関連組織との連携を図り、橋渡しをする側面もあります。法律や外国人を受け入れる体制、ノウハウなどの面で企業(特定技能所属機関)を支えます。またその企業に代わって1号特定技能外国人の支援を行い、その外国人が日本で安心して働ける環境を整えていきます。そして支援計画の実施状況を4半期に一度、出入国在留管理庁に報告しています。

このように登録支援機関は、特定技能制度が円滑に進むために必要な存在です。もちろん、企業がその役割を担うことができればいいですが、それを担うだけのリソースが足りない場合が多いのではないでしょうか。
特定技能は人手不足の業界を対象にした新たな在留資格です。それと同時に技能実習生として日本で働いた経験のある人材を日本に労働者として受け入れる施策でもあります。日本で働きたい外国人と人手不足の企業を繋ぐ大切な役割を、登録支援機関は期待されています。

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