≪ゼロから学べる≫特定技能申請方法と手順を徹底解説!【インドネシア編】

≪ゼロから学べる≫特定技能申請方法と手順を徹底解説!【インドネシア編】

この記事では、インドネシアから特定技能外国人を受け入れる際の申請手続き、手順について解説します。インドネシア人の外国人受入れを検討する企業の方はご一読ください。

2019年4月から始まった「特定技能」の「1号特定技能」の在留資格を得て日本で働いている外国人(1号特定技能外国人)は1,621人と調査報告(2019年12月末発表 出入国管理庁)されています。人手不足と認められる14分野で新たに新設された「在留資格」です。在留資格は外国人が日本で中長期的に滞在・活動する為に必要な資格です。この資格を付与されていない外国人は「不法滞在」となってしまいます。

それまで人手不足の分野を補っていたのは「技能実習」の在留資格で滞在している「技能実習生」と呼ばれる外国人労働者でした。しかし、技能実習は本来は日本の技術を海外に移転することで国際貢献をする事が目的であり労働力の確保のための制度ではありませんでした。ただ、現状としては外国人は日本でお金を稼ぐために技能実習生として日本で働き、受け入れる企業や団体も労働力として期待する側面があります。

そういった制度として目的から外れてしまっていることから、特定技能という在留資格が生まれたと言われています。しかし、現状は依然として技能実習の取得数が特定技能を上回っています。とはいっても、まだ開始されて間もない制度であり今後は普及することが見込まれます。特定技能の雇用に係る手続きは、通常の日本人を雇用する場合とは異なります。また、雇用する外国人の母国によって各現地政府が決めた手順や書類に則って申請や準備をする必要があります。したがって実務担当者にとってまだ慣れていないことが多いと予想されます。

この記事は、特定技能インドネシア人と受け入れる企業が特定技能申請の概要や手順を具体的に理解できるよう設計されています。

特定技能申請手順【共通】

書類の提出先や申請先

インドネシアをはじめとする特定技能外国人を雇用する際は、各関係機関に書類を提出し、いくつかの手順を踏む必要があります。以下の図1をご確認ください。

特定技能1号外国人の就労開始までの流れ

図1は特定技能外国人を雇用する場合のフローチャートです。この図では「外国人」と「企業」「登録支援機関」の3軸で説明しています。しかし、実際は「出入国在留管理庁」と場合によっては「現地政府機関」とやり取りを行う必要があります。また「企業」と表記しましたが、特定技能外国人を受け入れる企業は「特定技能所属機関」といわれます。

この記事では、以下の内容を説明します。

  • 特定技能外国人を受け入れるために必要な手続きの概要
  • 特定技能インドネシア人を雇用するために必要な手続き

受け入れの条件 (企業に求められる要件)

  • 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
  • 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
  • 1年以内に行方不明者を発生させていないこと
  • 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
  • 特定技能外国人の活動内容に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと
  • 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
  • 受入れ機関が保証金の徴収等を定める契約等を締結していないこと
  • 支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと
  • 労働者派遣をする場合には,派遣先が1から4の各基準を満たすこと
  • 労働保険関係の成立の届出等を講じていること
  • 雇用契約を継続して履行できる体制が適切に整備されていること(財政状況など)
  • 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
  • 分野に特有の基準に適合すること

以下も満たす必要がありますが、登録支援機関に全て委託する場合は(※)は満たしたものとして扱われます。 (外国人の支援 ※登録支援機関に全部委託する場合は満たすものとする)

  • 1.(※)以下のいずれかに該当すること
    ア 過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績がある、かつ、役職員の中から支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上・支援責任者および支援担当者は兼務可能)を選任していること
    イ 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有する者の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること(兼務可・1人でも良い)
    ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者(上場企業など)で、役職員の中から支援責任者及び支援担当者を選任していること
  • 2.(※)外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を確保していること
  • 3.(※)支援状況に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと
  • 4.(※)支援責任者又は支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
  • 5.(※)5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
  • 6.(※)支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することのできる体制を有していること
  • 7.(※)分野に特有の基準に適合すること

以上に加えて、各業界の協議会に加入する義務があります。

受け入れの条件(協議会への加入)

協議会の図

特定技能外国人の受入から4ヶ月以内に加入する必要があります。加入費用は分野(業界)ごとに違います。今のところ建設分野のみ費用が発生するようです。月会費で5,000~10,000円、入会金で50,000~100,000円かかるといわれています。また、雇用している特定技能外国人1人につき受入負担金として12,500円の費用が発生する場合があります。

特定技能所属機関と同様に、登録支援機関も業界ごとに協議会への加入義務のあるものと、ないものがあります。以下の6種の分野が加入する必要があるとされています。(2020年3月現在)

協議会への加入は各省庁のWEBサイトに協議会専用ページが用意されていますので、そちらから申請してください。

特定技能外国人1号のビザ申請に必要な書類

インドネシアをはじめとする諸外国からの外国人材に対する「特定技能1号」の在留資格を取得させるためには、約20種類の書類提出が必要です。特定技能所属機関の形態(法人・個人)などで必要書類も変わります。詳細は以下の表をご覧ください。※すべて法務省のウェブサイトよりダウンロード可能です。
参考:「特定技能運用要領・各種様式等」 法務省

※1個人事業主の場合は、住民票の写し
※2法人の場合のみ
※3受入れ機関が支援を自ら行う場合。登録支援機関に委託する場合は不要です
※4便宜上、特定技能ビザと表現していますが、正しくはビザではなく「在留資格」です
※5国内にいる特定技能外国人雇用の場合は、「在留資格認定証明書」ではなく「在留資格変更許可申請書」の提出が求められます

地方出入国在留管局に係る手続き

地方出入国在留管理局に行う申請は、雇用する1号特定技能外国人がすでに日本国内にいる場合と、海外にいる場合で異なります。はじめにP7に記載されている書類を用意します。それらを地方出入国在留管理局に郵送か窓口で提出すれば出入国在留管理局が審査をします。

・海外(インドネシア)にいる場合

1号特定技能外国人が海外(インドネシア)にいる場合は「在留資格認定証明書交付申請書」及び特定技能に係る書類を地方出入国在留管理局に提出することで「在留資格認定証明書」が交付されるので、海外(インドネシア)にいる外国人に送り、それを使って「査証ビザ」をインドネシア人本人がインドネシア現地の日本大使館などで発給します。

・日本国内にいる場合

1号特定技能外国人が国内にいる場合は「在留資格変更許可申請書」を特定技能に係る書類とともに提出することで本人に「特定技能1号」の在留資格が記載された「在留カード」が発行されます。

1号特定技能外国人に係る手続き

1号特定技能外国人を雇用する場合は、P5に記載されているとおり「特定技能雇用契約」の締結と「支援計画の策定と実施」をしなければなりません。

(1)特定技能雇用契約

特定技能雇用契約とは、特定技能外国人と特定技能所属機関(雇用主企業)の間で結ばれる雇用契約のことです。この雇用契約は、雇用する外国人が内容を十分に理解できる言語で作成しなければならないということです。また以下の内容を必ず記載する必要があります。

・従事させる業務に関するもの
1号特定技能外国人を雇用する際は、”相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能として分野別運用方針及び分野別運用要領で定める水準を満たす技能を要する業務に従事させるもの”でなければなりません。つまり技能実習生のような研修ではなく「即戦力」として業務に従事させる必要があります。

・所定労働時間に関するもの、報酬等に関するもの
外国人だからといって不当に長時間労働させる、給料水準を下げるなどは禁止です。日本人と同等以上であることを説明する必要があります。一方で、外国人の給料水準のために日本人の給料水準を下げるということもしてはいけません。

・一時帰国のための有給休暇取得に関するもの
特定技能外国人から一時帰国のために有給休暇の申請があった場合には、当該外国人が一時帰国することで適正な事業運営が妨げられる場合を除き、例え有給休暇をすべて使いきっている場合であっても、追加で有給休暇の取得や無給休暇を取得できるよう配慮する必要があります。外国人には有給としてインドネシアへ一時帰国する権利があります。

・派遣先に関するもの
特定技能外国人を労働者派遣法又は船員職業安定法に基づき派遣労働者として雇用する場合は、その派遣先及び派遣の期間が定められていることが求められます。現在、派遣雇用ができるのは「農業分野」と「漁業分野」のみで、それ以外の職種は派遣雇用ができません。

・分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
自社で従事する産業分野に必要な適正があると認められることを記載する必要があります。

・帰国の担保措置に関するもの
特定技能外国人が特定技能雇用契約の終了後にインドネシアへ帰国する際の帰国費用については本人負担が原則となります。当該外国人がその帰国費用を負担することができない場合は、雇用主である特定技能所属機関が帰国費用を負担するとともに、出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることが求められます。つまり、外国人労働者が帰国費用を支払えない場合は代わりに支払いますと記載する必要があります。

・健康状況その他の生活状況把握のための必要な措置に関するもの
雇用した特定技能外国人が継続して働けるように定期的な健康診断を実施しますと明示する必要があります。

・分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
分野ごとに明記しておいたほうが良いと思われるものを記載します。

以上の事項を含めて特定技能雇用契約書を特定技能外国人が十分に理解できる言語と日本語で作成し通常の雇用契約書と同様に特定技能外国人に各1枚、雇用主である特定技能所属機関に各1枚で保管すれば完了です。

(2)支援計画の策定と実施

1号特定技能外国人を雇用する際に必ず必要なものが「支援計画」です。正確には「1号特定技能外国人支援計画」といいます。目的として「1号特定技能外国人」が良質で安定した職業生活や、日常生活、社会的生活を送り、円滑に特定技能1号の活動が行えるよう図るものです。

そのため、特定技能所属機関(受け入れ先の企業)は支援計画を策定し出入国在留管理庁に提出する義務があります。1号特定技能外国人の在留資格の申請や更新時に他書類と一緒に提出する必要があります。

支援計画は日本語で作成するだけではなく、当該外国人が十分に内容を理解できる言語(インドネシア語、英語)でもあわせて作成し、その写しを渡す必要があります。同時にその中身について説明したうえで、理解したとして署名を得る必要があります。

「十分に内容を理解できる言語」はその外国人の母国語、インドネシア語でなければならないという決まりはありません。しかし、内容を全て理解したと外国人が判断できる言語で作成しなければなりません。

受け入れ先である企業(特定技能所属機関)が原則としてこの支援計画を実施する義務がありますが、登録支援機関に全ての支援計画の実施を委託することができます。1号特定技能外国人支援計画実施について一部のみ委託の場合は、支援計画においてその委託の範囲が明確でなければならないとされています。

また、支援計画の作成は基本的に特定技能所属機関が行う必要があります。
※作成に関して登録支援機関から助言等を得るのは問題ありません。

支援計画書は法務省のウェブサイトよりダウンロード可能です。

支援計画には「義務的支援」と「任意的支援」の2種類があります。義務的支援は必ず行う必要がある支援内容で、任意的支援は必ずしも行う必要はありません。しかし、義務的支援だけでは海外から来たばかりの外国人が日本で暮らしていくには足りていない場合もあるので、基本的には必要なことは任意的支援としても実施していくべきです。

特定技能申請手順【インドネシア】

インドネシア政府に係る採用企業がする手続き

特定技能1号の在留資格を取得した(あるいは取得する見込みの)インドネシア人を雇用する場合の手順を解説します。一番の特徴は以下の点です。

海外から来日するインドネシア人を特定技能外国人として雇用する場合は、インドネシア当局が運営している労働市場情報システム「IPOKL」に企業として登録し求人申し込みをする必要があります。つまり、海外から雇用する際はインドネシア当局を通して採用活動を行うということです。IPOKL(https://ayokitakerja.kemnaker.go.id/)

ただし以下の場合は登録を行う必要はありません。

①すでに雇用先が決定し帰国したインドネシア人を同じ企業が再雇用する場合
②日本国内ですでに活動しているインドネシア人

①は元技能実習生が技能実習生として働いていた企業に雇用される前提で一時帰国し、再度同じ企業で特定技能外国人として働く場合などです。
②はすでに別の在留資格で日本に滞在しているインドネシア人などです。

もし自社で対応が難しい場合は、インドネシア人のビザ取得に強い行政書士事務所などを頼ることも検討してみてもいいかもしれません。

特定技能インドネシア人に係る手続き

自社に特定技能インドネシア人を雇用する場合は、当該インドネシア人がしなければならないインドネシア人固有の手続きがあります。

海外から来日するインドネシア人を特定技能外国人として雇用する場合は、SIS KOTKLNに登録してもらう必要があります。SIS KOTKLNはインドネシア当局が運営している海外労働者管理サービスシステムです。ここに登録することで当該インドネシア人は海外労働許可IDの発行をインドネシア政府から受け海外労働が許可されます。

日本国内にいるインドネシア人であってもSIS KOTLKNへの登録は必須です。また、日本国内にいるインドネシア人で就労ビザでの滞在でない(留学生や技能実習生)に特定技能インドネシア人として就労する場合は、在京インドネシア大使館において、海外労働者登録手続きをするように求められています。

特定技能インドネシア人手続きのまとめ

これまで説明した特定技能インドネシア人の雇用までの手続きをまとめると以下の図のようになります。

⑧ビザ(査証)発行後3ヶ月以内に日本の入国し、特定技能インドネシア人として就労開始ができます。②の特定技能雇用契約など通常の雇用契約とは異なる点に注意して資料や書類を準備し、不備のないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。インドネシア人は約2億6千万人の人口を誇っています。中国、インド、アメリカ次いで世界第4位の人口です。法務省によると2018年末時点でインドネシア人は日本国内に56,346人いると報告されています。日本国内にいる外国人で9番目に多いのがインドネシア人といわれています。特定技能では「介護」の分野でも注目が集まっており、現地に養成機関を設立する企業も出てきています。

今後、日本に働きにくる外国人としてベトナムや中国などに次いで期待されるインドネシア人ですが、本書でお伝えしたとおり「特定技能」の就労ビザ(在留資格)の申請に関してはインドネシア政府機関への登録や、雇用するインドネシア人自ら登録しなければならないものなどがあり、また日本国内にいるインドネシア人と、日本国外にいるインドネシア人を雇用する場合でも手続きが異なります。

「特定技能」は2019年4月に新設されたばかりの「在留資格」であるため、今後も手続きに変更や追加がある可能性もあります。企業担当者としては、情報をいち早くキャッチして対応していくことが求められているのではないでしょうか。ぜひ「gNavi」を活用していただければ幸いです。

参考資料

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