昨今の日本では、少子高齢化、働き方の多様化などを受け、国を挙げた働き方改革が進んでいます。東京証券取引所第1部上場企業としても知られる、食品メーカー「味の素」、人材紹介などの「リクルートホールディングス」、下着メーカー「ワコール」といった国内大手企業でも、積極的に改革が進められています。今回は、洗濯用洗剤「アタック」やスキンケア用品「ビオレ」など、様々な人気有名ブランドを展開する日用品メーカー「花王（Kao）」グループの働き方改革への取り組みについて解説します。
花王グループの働き方改革の概要
“清潔で美しく健やかな毎日を目指す”花王では、仕事と生活の調和が取れるワークライフバランスを意識し、従業員が安心して働ける職場環境を整えています。社員の健康を守りつつ、仕事を効率的に進められるメリハリのある働き方を実現しています。
フレックスタイム制を導入
標準の勤務時間は8時30分～17時で、実働時間は7.5時間と設定されていますが、各社員の判断で7～20時の間で始業、就業時刻を決められます。これにより、育児や介護といった個人・各家庭の事情に合わせられるほか、海外との業務などで臨機応変に対応しながら働くことができます。
休暇制度の種類が豊富
完全週休2日制で、祝日や年末年始、有給休暇など一般的なもののほか、事故や怪我を負った際の傷病特別休暇、会社が認めたボランティアに参加することで得られるボランティア特別休暇、社員の家族のための看護・介護特別休暇、勤続10年ごとの節目に得られる勤続リフレッシュ休暇など、特徴的な休暇制度を設けています。また、短時間で済ませられる用事に対応できるよう、時間単位での休暇取得も可能です。
各種サポート体制が充実
新入社員にとって、新しい職場での環境に少なからず不安があるものです。その新生活を快く始められるよう、独身寮を用意するなど住宅支援を行っています。また、転勤者には専用の住宅を、世帯主には住宅加算手当が支給されます。そのほか、社員の病気や怪我に対しては、医療費の負担や給付金を支給しています。
数値でみる花王グループの推進結果
花王グループは制度ばかりが充実しているのではなく、数値から見てもその推進結果が表れています。ここでは最新の2020年度の数値が発表されている、花王のグループ会社で同社家庭用品・化粧品の販売を行う「花王グループカスタマーマーケティング（KCMK）」社のデータを例に挙げて見てみましょう。
平均勤続年数：21.2年
平均勤続年数が20年以上は国内でもトップクラスに入り、若手社員が根付き、長く働ける環境が整っていることがわかります。
比較参考資料：プレジデントオンライン「全上場企業の平均勤続年数ランキング（2020年版）」
月平均残業時間：8.4時間
残業を減らす工夫をこらし、見事に効率的な業務遂行ができており、社員はメリハリのある生活が送れています。
比較参考資料：東洋経済「最新!これが『残業時間の少ない』トップ100社だ」
平均有給取得日数：15.4日
取得率は約79％を誇ります。育児休暇に限ると、女性は100％、男性は33％と、国内でもトップクラスの高さです。
比較参考資料：東洋経済「有給休暇の取得率高い300社最新ランキング」
「ダイバーシティ＆インクルージョン」の推進
花王グループでは、社員一人ひとりの多様な個性・価値観を受け入れ、各自能力を最大限に発揮できるよう「ダイバーシティ＆インクルージョン（D&I）」を強化しています。具体的な取り組みとして、性別を含む属性によらない人財選抜やマネジャー向けの研修、シニア層が活躍できるためのキャリアカウンセリングやLGBTに関する理解促進研修などまであり、多岐にわたります。性別や国籍の不平等を無くし、働きがいと合わせて経済成長も目指すという花王グループの持続可能な開発目標（SDGs）に貢献しています。
まとめ
今回は花王グループの働き方改革についてご紹介しました。ワークライフバランスを推進し、その結果がしっかりと出ていることがわかりました。健やかで心豊かな生活を実現し、生産性を向上できる環境づくりが、今の新しい時代に必要といえるでしょう。
次世代採用ナビではこれまでもさまざまな企業の働き方改革についてご紹介しました。以下も併せてご参照ください。