テレワーク・在宅勤務導入の試みが様々な企業で行われ、多くの成功事例、失敗事例が世の中に共有されるようになってきました。
「新しい働き方」という言葉を昨今よく耳にします。以前より唱えられてきた働き方改革は、2020年新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、多くの企業において加速的に取り組まれてきました。
通信大手企業であるKDDIも例外ではありません。KDDIは人財マネジメント制度の改革や勤務体系の改革、そして企業のテレワーク推進に対応したセキュリティサービスの提供を開始しました。
今回はKDDIの働き方改革について徹底解説していきます。
KDDI社働き方改革の概要
- 新人事制度「ジョブ型人財マネジメント」
- 新働き方宣言
- 社内DX
以下では上記のKDDI社内での働き方改革に加え、KDDI社が新規に販売を開始するセキュリティサービスについて、それぞれの詳細をご紹介、解説していきます。
KDDI社働き方改革のねらい
KDDI社は人事制度の刷新、社内独自の働き方の策定、最先端テクノロジーの活用をを通して全社員のパフォーマンス向上を図っています。
KDDI社は緊急事態宣言下において社員の9割がテレワークを活用していました。そこで生じたコミュニケーション面などにおける課題を抽出し、社内DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進により、在宅勤務と出社のハイブリッド型での働き方で、社員一人ひとりにあったスタイルを提供し、時間と場所にとらわれず成果を出す働き方の実現を目指しています。
新人事制度、「ジョブ型人財マネジメント」
KDDIは労働時間ではなく、成果や挑戦、能力を評価し処遇へ反映することを目的とした新しい人事制度、「ジョブ型人財マネジメント」を2020年8月から導入すると発表しました。職務領域を明確化する「ジョブ型人財マネジメント」を導入することで、市場価値に基づく報酬制度や専門性の深耕が可能となりました。KDDIのこの制度は、ジョブ型の長所を活かしつつ、グループ内での様々な成長機会を活用するKDDI版ジョブ型を推進しています。
また2019年から順次開始しているジョブ型採用、社内副業制度などの社員の自律性を重んじた施策のほか、HRテクノロジーを活用したタレントマネジメント、デジタルトランスフォーメーション人財育成などの施策を開始していくと発表しました。
さらに2021年4月に新卒入社する社員から一律の初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体系の導入すると発表しました。
以下はKDDI版ジョブ型人財マネジメントをまとめた5つの要素です。
- 市場価値重視、成果に基づく報酬
- 職務領域を明確化し、成果、挑戦、能力を評価
- Willと努力を尊重したキャリア形成
- KDDIの広範な事業領域をフル活用した多様な成長機会の提供
- 「企業の持続的成長」と「ともに働く人の成長」
参考資料:KDDI株式会社ニュースリリース、時間や場所にとらわれず成果を出す働き方の実現へ、KDDI版ジョブ型人事制度を導入
ジョブ型とは・・・
一人ひとりの職責を明確に定義し、それに応じた報酬設定をすることで、各ポジションにつき最適な人材を配置、採用することを意味します。
従来の日本において主流であった、採用後にポジションを与える人事を「メンバーシップ型」と言います。
新働き方宣言
KDDI新働き方宣言
KDDIは新働き方宣言を策定し、以下を発表しました。
従来のオフィス勤務を前提とした勤務形態から、テクノロジーを活用し、働く時間や場所にとらわれず成果を出せる柔軟な働き方に変革するための環境整備、制度改革を進めます。
役職や組織などによらず垣根を超えたコラボレーションを進め、オープンに知見を共有するカルチャーへの改革を進めます。
働き方とカルチャーの改革を通じ、社員の能力を最大化し、エンゲージメントを高め、目指します
KDDIは社員と会社の両軸で変革を進め、社員と会社が同時に成長することで、魅力的な組織の醸成を目指しています。
新しい働き方の4つのモデルケース
KDDIは新働き方宣言に基づき、社員の新しい働き方の指針となる4つのモデルケースを規定しました。社員それぞれのワークスタイルやライフスタイル、役職にあわせた働き方の最適解を模索することを目的としています。
1.Runner
外勤中心の社員を指します。現場から自宅の直行直帰が中心でサテライトオフィスの活用を推奨しています。
Runner型社員は全社員の10%を占めています。
2.Walker
社内外の打ち合わせが多い社員を指します。オンラインでの会議を中心とし、フレックス制度の積極活用を推奨しています。
Walker型の社員は全社員の30%を占めています。
3.Sitter
オフィスワーク中心の社員を指します。テレワークの積極活用とRPAによる業務効率化を推奨しています。
Walker型社員は全社員の60%を占めています。
4.Manager
組織のリーダーを担う社員を指します。オフラインとオンラインのメリットを適所で使い分け、効果的なマネジメントに取り組んでいます。
社内DX(デジタル・トランスフォーメーション)
新たなデジタル技術の発展により、これまでにないビジネスや、それを活用したライフスタイル、働き方が登場してきています。経済産業省は2018年12月にデジタル・トランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)にて、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を以下のように定義しました。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」を指します。
‐経済産業省「産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進」
KDDIはこれまでご紹介してきた人事制度のもと、多様な働き方の実現に向け、オフィスやIT環境の整備を進めています。
オフィスの環境整備では、法人の事業拠点である虎ノ門に新オフィスを開設しました。また、フリーアドレスを導入し、座席数を4割削減しました。
加えて、各オフィスの位置づけをハブオフィス、サテライトオフィス、ホームに再定義することで、業務内容に合わせて働く場所の選択を可能にしました。
フリーアドレスとは・・・
フリーアドレスとは、従来のように社員それぞれが個人専用のデスクを持つのではななく、設置された長机と椅子に自由に席を決めて作業をする制度です。企業によって設置されている机や椅子の種類が様々なところもあり、カフェのような空間を演出して従業員のリラックスを図っているところもあります。
IT面での環境整備では、リモート会議を前提とした会議室のIT化をはじめ、ネットワーク環境の設備増強、クラウド管理システムの拡充に取り組んでいます。また、セキュリティを強化した社外持ち出し業務用ノート型パソコンを全社員向けに整備し、派遣社員向け在宅勤務用パソコンとネットワーク環境の整備を実施予定です。
テレワークを推進するセキュリティサービス「Cisco Umbrella」
KDDI社はシスコシステムズ合同会社が提供するクラウド型セキュリティサービス、「Cisco Umbrella」を、法人顧客向けに販売開始しました。
昨今のワークスタイルの変化に伴い、多くの企業や個人にとって重要性を増してきているインターネットセキュリティの確保へのニーズに応え、多様で柔軟な働き方の実現に貢献しています。
参考資料:働き方改革で多様化、テレワークを推進するセキュリティサービス「Cisco Umbrella」を提供開始
まとめ
今回はKDDI株式会社の働き方改革についてご紹介、解説しました。通信会社として、自社の環境整備だけでなく、セキュリティーサービスの販売をしている点がとてもユニークです。
参考資料:時間や場所にとらわれず成果を出す働き方の実現へ、KDDI版ジョブ型人事制度を導入
次世代採用ナビではこれまでもさまざまな企業の働き方改革についてご紹介してきました。以下も併せてご参照頂ければ幸いです。