昨今、多くの企業が取り組み、様々な制度や施策を導入することで行っている働き方改革。その成功事例、失敗事例は広く世の中に共有されています。それぞれの企業で行われている働き方改革の事例の特色を掴むことは多くの発見や学びを与えてくれます。
ソフトバンク株式会社では、社内スローガンである「Smart & Fun!」をもとに、AI、Big Data、IoT、RobotなどのITを駆使した働き方改革が行われています。
今回はソフトバンク株式会社の働き方改革事例とその特徴について徹底解説していきます。
ソフトバンク働き方改革の概要
ソフトバンク社は、社内スローガンとして「Smart & Fun!」を掲げ、AI、Big Data、IoT、RobotなどのITを駆使し働き方改革に取り組み、スマートに仕事をして、よりクリエーティブに、よりイノベーティブなことへ取り組める状態を目指しています。
ソフトバンク社は2017年から本格的に働き方改革をスタートさせました。ソフトバンク社、そして全社員の根底にある「ベンチャースピリット」は時として仕事への情熱にあふれることで働きすぎを招いてしまうことがありました。しかし、ソフトバンク社の働き方改革は単なる長時間労働の是正ではなく、効率化に重きを置き、創出した時間で新しいことに取り組むことでした。
その取り組みは2019年、働き方改革を通じて生産性革命に挑む先進企業を選定する2回日経Smart Work経営調査において、5つ星に認定されました。
以下では、ソフトバンク社働き方改革のポイントをそれぞれ解説していきます。
- スーパーフレックスタイム制
- 在宅勤務制度の拡充
- 自己成長支援金
- AI・IoT・RPA社内事例発表会
スーパーフレックスタイム制
ソフトバンク社は2017年4月よりスーパーフレックス制を導入しました。コアタイムを撤廃し朝7時から夜10時までの間、各社員が業務の状況などに応じて始業時刻と終業時刻を柔軟に変更できるようにし、メリハリをつけた働き方ができるようになりました。各組織と個人が最も効率的な時間帯に業務を行うことで、生産性と成果を最大化させることを目的としています。
仕事への積極的な姿勢を企業文化の特徴の一つとしているソフトバンク社は、強制消灯や強制退社時間を設けていません。厳格なルールを規定するのではなく、「やるべきときはやる」「余裕があるときは休む」など個人レベルで就業時間を管理できるようなしくみになっています。
このスーパーフレックス制を導入するうえで、「社員の多くが昼過ぎに出勤するようになったらどうするのか。」といったネガティブな意見もありました。ソフトバンク社は、個人の裁量と会社の統制のバランスをとる運用ルールを設けることで対応しました。
具体的には、朝9時から夕方5時45分までを標準の勤務時間とし、基本は会社共通の標準時間を意識しつつ、「何かあれば変更しても良い」という運用に規定しました。
スーパーフレックス制の導入により、仕事とプライベート両方の時間の有効活用ができるようになったり、創出できた時間でスキルアップのための勉強ができたりとい社員の方の肯定的な意見があります。
在宅勤務制度の拡充
ソフトバンク社は、在宅勤務制度の適応範囲を、育児や介護を行う社員から、育児や介護にかかわらず、業務状況に応じて利用できるようにしました。現在は9割以上の部署が在宅勤務を取り入れています。
また、関東圏内の事業所6拠点のサテライトオフィスとして全社員に開放しています。これにより、営業部門の社員が外出時に近隣のサテライトオフィスを活用することで移動時間を短縮でき、効率的な働き方を推進しています。さらに、コワーキングスペースの活用も拡大していくことで、時間と場所にとらわれることのない、個人の状況にあった働き方を作ることで全社として生産性の最大化に取り組んでいます。
自己成長支援金
ソフトバンク社は、2020年4月以降、「自己成長支援金」として社員に毎月1万円を支給しています。自己成長支援金の給付には、上記のスーパーフレックス制や在宅勤務によってできた時間で、社員の自分磨きを後押しする狙いがあります。
ソフトバンク社の成長戦略実現のためには、既存事業の成長に加え、新領域の拡大が求められており、それを支える社員にはスキルアップ、知識や経験の蓄積を通して持続的な成長が求められています。
社員一人ひとり、会社全体がイノベーティブに、クリエーティブになることで働くことで社内スローガンの「Smart & Fun!」を体現し、高い成果のへの結びつけを目標に掲げています。
支援金の使い道は社員様々で、IT関連の教材費や自己啓発、語学学習やスポーツ活動など多岐にわたっています。
AI・IoT・RPA社内事例発表会
ソフトバンク社では社内でのITツール活用を推奨しています。これは2012年に発表された「社内業務ペーパーゼロ宣言」が前提となっています。この社内業務ペーパーゼロ宣言により、数億円ものコスト削減につながっています。
現在はAIやIoT、RPAなどのITツールを非エンジニア職の社員が自主的に勉強して業務に取り入れている社員が増えています。
2018年には、このようなIT業務改善の事例発表会が2回に分けて実施されました。約700人の社員が集まり、採用活動におけるAIの活用事例や書類作成におけるRPAの活用事例などを共有しました。
RPAとは・・・
RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、データ入力や書類管理などの事務作業を自動化できる「ソフトウェアロボット」を指します。
RPAの導入により、人が行うべき仕事の棚卸が円滑になったと言えます。
これまで大企業で行われてきたDX(デジタルトランスフォーメーション)、IT化はパッケージ化されたサービスの提供により、中小企業でも利用できるようになりました。これはRPAの領域についても同様であり、多くの事務作業に該当するルーティーンワークをツールに任せ、クリエイティブな領域に人的資源を集中させることができるようになりました。総務省は、ICTの活用により、1.2~1.3倍の労働生産性の違いがあると発表しています。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」を指します。
「産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進」(経済産業省)
ICTとは・・・
ICTとは、Information and Communication Technologyの略でありIT(Information Technology)とほぼ同じ意味です。情報通信技術全般を指します。
まとめ
今回はソフトバンク株式会社の働き方改革をご紹介、解説しました。社内の共通認識である運用ルールのもと、社員のフレキシブルな働き方により創造性を高めるソフトバンク社の働き方改革は、まさに時代の先を行くようなものではないでしょうか。
参考資料:
SoftBank流 働き方改革
「効率化」と「イノベーション」を両立させる、ソフトバンクの働き方改革
次世代採用ナビではこれまでもさまざまな企業の働き方改革についてご紹介してきました。以下も併せてご参照頂ければ幸いです。